◆NBA グリズリーズ―マーベリック(日本時間14日、米テネシー州メンフィス) 各地でレギュラーシーズン(RS)の最終戦が行われ、グリズリーズの河村勇輝(23)は、本拠地でのマーベリック戦に途中出場し132―97で完勝したチームの勝利に貢献…
◆NBA グリズリーズ―マーベリック(日本時間14日、米テネシー州メンフィス)
各地でレギュラーシーズン(RS)の最終戦が行われ、グリズリーズの河村勇輝(23)は、本拠地でのマーベリック戦に途中出場し132―97で完勝したチームの勝利に貢献した。ツーウェー契約のためポストシーズンには出場できず、今季最後の試合になったが、28分5秒のプレー時間、12得点、5リバウンド、5アシストといずれも自己最多を更新。NBAデビュー・イヤーを最高の形で締めた。
衝撃が走った。第2クオーター(Q)の残り約4分。中央付近で河村がスティールすると、ゴールへ走る見えないはずの味方に、ノールックで背面パスを出し、シュートをアシストした。現役最小172・7センチの小さなヒーローがコートを支配。会場からは大歓声だ。思い切りプレーし「最高だった」と汗をぬぐった。
15日のプレーオフ進出決定戦に備えて主力を温存し、めぐってきた絶好の機会を逃さなかった。自身にとっては今季最後の試合。「NBAでプレーできることを証明したかった」。第1Qの途中から出場し、いきなり2本の3Pシュートを決め勢いに乗り、第3Qでもファウルを受けながらも3Pシュートを沈めた。出場時間、得点、リバウンド、アシストと全て自己最多を更新。「ラスト、いい試合になった」と浸った。
自ら道を切り開いた。当初1年目はGリーグで経験を積み、2年目から勝負、3年後に本契約と3年かけた段階的な青写真を描いたが、1年目からプレシーズンマッチで結果を出し、ツーウェー契約を勝ち取った。渡米から約1か月後の開幕2戦目では日本人4人目となるNBAデビュー。シーズン中は下部のGリーグで出場を重ねながらNBA22試合に出場。想定以上の成果を出し、2月のGリーグオールスターにはファン投票1位で選出されるなど、激動の1年だった。
今季の出場機会はもうないが、この後はプレーオフ進出決定戦に出場するチームに同行する。「いつカット(解雇)されるか分からない中で、練習でも自分がここにいる意味を証明しないといけない毎日だった。精神的にも鍛えられた」と成果を口にする。「まだ旅の途中。これからもっと厳しい試練や、タフな状況が続いていくと思うので頑張っていければ」と河村。「3年計画」の1年目は確かな足跡を刻んだ。
◆ツーウェー契約 NBAで2017年に発効した新たな労使協定により、17~18年シーズンから導入された。若手育成を主眼とし、下部Gリーグのチームに所属しながら、NBAのレギュラーシーズンに最大50試合まで出場登録が可能になる。各チームは同契約を3人まで、最大2シーズンまで結ぶことができる。4年以上のNBA経験がある選手は対象外。
◆河村 勇輝(かわむら・ゆうき)2001年5月2日、山口・柳井市出身。23歳。6歳でバスケを始める。福岡第一高3年だった20年1月にBリーグ・三遠に特別指定で入団し、当時史上最年少18歳8か月23日で出場。東海大を中退し、22年3月プロ転向、横浜BCでプレー。22~23年のBリーグで史上初のMVP&新人賞のダブル受賞。22年7月に代表デビュー。23年W杯、24年パリ五輪日本代表。24年10月にNBAグリズリーズとツーウェー契約。172・7センチ、72・1キロ。