ラウンド終了のゴングと前後するように、強烈な右ストレートが炸裂。レフェリーがダウンカウントを数え、その後、カウント8後に再びゴングが鳴るという珍しい出来事に対して「倒れたのはゴング前か、後か?」「これは珍しい」などさまざまな反響が相次ぐ一…

 ラウンド終了のゴングと前後するように、強烈な右ストレートが炸裂。レフェリーがダウンカウントを数え、その後、カウント8後に再びゴングが鳴るという珍しい出来事に対して「倒れたのはゴング前か、後か?」「これは珍しい」などさまざまな反響が相次ぐ一幕があった。

【映像】波紋を呼んだ“一撃”「実際の様子」

 4月19日、後楽園ホールで開催された「RISE187」。北井智大(チームドラゴン)と奥山雅仁(OISHI GYM)の対戦は、序盤から打ち合いとなるスリリングな展開となったが、ワンダウンを奪った奥山が判定勝利を収めた。2ラウンドで飛び出した、ゴングと同時のダウン場面には、ファンの間でも「ダウンか否か?」「ゴング前か、ゴング後か?」と、その扱いを巡る議論が巻き起こった。

 RISEライト級4位の北井は、攻撃的なスタイルで知られる激闘派。対する奥山は、テクニカルな打撃と冷静な試合運びを武器に、安定した戦績を誇る。実力者同士による対決は、ランキング上位進出を懸けた激しい打ち合いが期待された。

 試合は序盤から奥山がジャブとストレートを的確に当て、カーフキックで北井の足を削る展開に。2ラウンドではさらにギアを上げて猛攻を仕掛ける奥山の連打に、前進フルスイングが信条の北井がズルズルと下がる場面も見られた。北井も持ち前の攻撃的スタイルで打ち合いを挑むが、奥山の精密な打撃に終始コントロールされ気味だった。

 試合が動いたのは、2ラウンド終了間際。仕留めようとやや気持ちがはやる奥山に対し、北井が持ち前のアグレッシブさを見せた瞬間、奥山が逆転。コーナーに相手を追い詰め、連打から右ストレートをクリーンヒットさせると、北井がダウン。ラウンド終了のゴングとほぼ同時に炸裂した一撃を受けてダウンカウントが開始された。カウントは8まで数えられ、北井がファイティングポーズをとると“3分8秒”で再度ゴング。しかし「ゴング前か?」「ゴング後だろ!」など、ダウンの認識を巡ってファンの間では意見が錯綜した。

 「ゴング後でもモーションに入っていれば大丈夫」との指摘もあるが、ゴングと同時にダウンした場合、それが正当な攻撃によるものであれば通常のダウンとして扱われ、10カウントが開始される。ただし、終了のゴングが2度鳴らされるのは極めて稀なケース。まさかの展開に実況が「いやー、ギリギリのところでしたけど」とコメントすると、解説が「素晴らしかったですね。残り、内側(ゴング前、ラウンド内)でしたね」と応じた。

 3ラウンドでは両者に疲労が見える中、北井が意地を見せて打ち合いに持ち込むも、奥山は冷静にカウンターを当てて応戦。消耗戦の末、ジャッジは奥山の優勢を支持し、3-0の判定(27-29、27-29、27-30)で勝利を収めた。問題のダウンシーンが勝敗を分ける決定打となったが、終了間際にはベテラン北井が連打で相手をグラつかせるなど奮闘。敗れはしたものの、“名勝負製造機”の異名にふさわしい気迫の戦いを見せた。