2025年3月、味の素株式会社とSPORTS BULLが「パラスポーツの未来を考える」ワークショップを共同で開催した。学生10名のほか、味の素社およびSPORTS BULLの社員、パラスポーツ関係者が参加し、多様な立場から「パラスポーツの未来」についての議論がなされた。

前半は知識と体験を通じたインプットの時間
イベントの前半は、パラスポーツについての理解を深めるインプットセッションが行われた。
まず、味の素社の蘆名真平氏から「なぜ味の素グループがパラスポーツを支援するのか」を説明し、企業として支える側の取り組みが紹介共有された。「私たちはパラアスリートのサポートを通して、障がいがある、ないに関わらず“だれもが自分らしく活き活き生きる=Eat Well,Live Well” を応援し、またそれを生活者に発信することで社会貢献していきたいと考えております。スポーツは社会を良くする。パラスポーツがあれば社会はもっとよくなるとわたしたちは信じています。みなさんにできることは何ですか。今日は一緒に楽しみましょう!」と蘆名氏から参加者に力強いメッセージが投げかけられた。
続いて、日本ブラインドサッカー®協会の上谷誠大氏と元日本代表寺西一選手の協力により、ブラインド体験(目が見えない状況を実際に体験)を実施。参加者に「目が見えない」なかでのコミュニケーションの取り方や、ブラインドフットボールの競技の難しさや楽しさを身をもって感じてもらった。
その後は、パラスイマー鈴木孝幸選手と参加者との座談会が行われた。競技者としての視点から、鈴木選手からパラスポーツの魅力や課題について語られ、鈴木選手との対話を通じて、参加者からも率直な意見が交わされた。

後半は「パラスポーツの未来」をみんなで描く
後半は、参加者を3つのグループにわけてグループワークを実施。「パラスポーツの魅力と課題」「それぞれの立場で自分にできることは何か」を入口に「パラスポーツの未来」というテーマで各グループ真剣に議論。大きなテーマではあったが、出てきた意見やアイデアを付箋に書き出し、模造紙に張り付けて各グループから発表。
パラスポーツの魅力は、「誰もが公平にプレーできる」「多様性や個性を知る機会」「選手たちの挑戦から勇気や感動を得られる」、「エンターテイメント的な魅力がある」といった意見が聞かれ、共生社会構築の可能性や、障がいの有無に関わらずすべての人が楽しめるスポーツであることなどパラスポーツ独自の価値を参加者は感じたようであった。
一方で、パラスポーツの課題として、「認知度の低さや理解の不足」などが挙げられた。「体感」しないとその魅力が伝わりにくい、メディアでの露出が少ない、観戦機会が少ないといった意見が聞かれ、さらに「障がい者と健常者が一緒にプレーできる競技もあることが知られていない」など、固定概念や誤解が課題として指摘された。
魅力と課題を踏まえ、「義務教育へのパラスポーツの組み込み」や「メディア露出機会を増やす」「パラスポーツの魅力を伝える動画など、プロモーション活動の充実」など、パラスポーツのよりよい未来を創るためのアイデアも各グループから発表された。

未来を共に創るために
ワークショップ終了後、蘆名氏はこう語った。
「様々な立場の人がこうやってパラスポーツの未来について考えたということだけでも今回のイベントは大きな価値があったと思う。パラスポーツが社会の中でより身近になり、当たり前に存在する社会を創るために、我々は企業としてこういった機会をもっともっと増やしていきたい。なぜならそこに学びと成長があるからです。」多様な立場の人々が集まり、パラスポーツについて真剣に議論する貴重な場となった今回のイベント。「メディア露出の少なさ」や「魅力が伝わりにくい」といった課題も共有された。「パラスポーツは単なる競技結果だけでなく、選手たちの挑戦や競技の価値、多様性を伝えていく必要がある」と語るのはSPORTS BULLのメンバー。メディアとして、共生社会の象徴であるパラスポーツの魅力をどう発信していくかは、今後の大きなテーマだ。パラスポーツの未来を支えるうえで、メディアの果たす役割もますます重要になっていくだろう。
このように個々が主体的に関わり意見を出し合うことで、パラスポーツの未来に向けた新たな可能性は広がっていくはず。今後も、味の素社をはじめ様々なプレイヤーが手を取り合い、共にその未来を創り上げていくことが期待される。

 

参考動画:「味の素社がパラアスリートと考える自分らしさとは?」
味の素グループは、経営戦略としてDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進しています。
「多様性」を「包摂」し、それぞれに「公平」な機会提供のもとで、互いに尊重しながら成長できる環境づくりを目指すこと。それを社内だけでなく、広く社会と関わりながら実現していくための一環として、パラアスリートの支援を続けています。

(提供:味の素株式会社)