「ヤクルト1-5阪神」(15日、坊っちゃんスタジアム) 坊っちゃんスタジアムで、7年ぶりに勝利の六甲おろしが響き渡る。快勝を導いたのは、才木浩人投手(26)だった。六回2死まで無安打に封じるなど、7回2安打無失点の好投で虎党を沸かせた。ロ…
「ヤクルト1-5阪神」(15日、坊っちゃんスタジアム)
坊っちゃんスタジアムで、7年ぶりに勝利の六甲おろしが響き渡る。快勝を導いたのは、才木浩人投手(26)だった。六回2死まで無安打に封じるなど、7回2安打無失点の好投で虎党を沸かせた。ローテの軸に今季初星が輝き、チームは再び貯金生活に突入。松山での勝利を追い風に、さらに勝利を積み重ねていく。
◇ ◇
才木と出会い4年。ここ3年は自主トレをともにしている、株式会社JARTA代表・中野崇トレーナー(44)は、年々右腕の進化を感じていた。何よりも伸びた点は(心の)余裕。自らの体を理解することで、自信をつけていったという。
キャンプ序盤、ブルペンで才木の直球は暴れていた。じっくり調整して迎えた初実戦でも、特大弾を浴びるなど2回4失点。昨年は大活躍も、体の疲れ、かかるプレッシャーの大きさが要因かと思われた。
ただ、報道陣にあっけらかんと話していた通り、才木は一切気にしていなかったようだ。キャンプ中も、コミュニケーションをとっていた中野トレーナーは「全く焦ってなかったですね」と、その時の様子を振り返る。「才木選手だけでなく、キャンプでユニホームを着たら緊張感でいったん崩れるっていうんです」。思い通りにいかなくても、それが通常と捉えていた。
たった2年前は違う姿だった。ケガから復帰し、岡田彰布監督が就任。とにかくアピールするのに必死だった。「キャンプでインパクトを残したい」と仕上がりを早くした。ただ、徐々に成績を伸ばし、自身を知ることで調整は変化。今では「どのタイミングで上げていく必要があるか、先読みができるようになった。余裕が出てきたと感じますね」。開幕に向けてどう準備するか、才木にははっきりとしたビジョンがあった。
シーズン中も登板ごとに連絡を取り合う2人。「弱音っぽいことは彼は言わない。根拠のないポジティブではなく、ちゃんと分析できている」という。昨年11月はプレミア12で侍JAPANに選出され、遅くまで野球をやっていた。「休むのが好きじゃない選手なので、3日間はなにもしないでくれと伝えた。本人から『我慢します』って連絡が来ました」とセーブするのに必死だったそうだ。
昨年13勝を挙げ、迎える今季のテーマは「地に足をつけよう」。頼れる右腕は、慢心することなく、一歩一歩階段を上がっていく。(デイリースポーツ・滋野航太)