低反発の金属バットなのに総得点が増えている――。 選抜高校野球大会は30日、阪神甲子園球場で横浜(神奈川)と智弁和歌山による決勝が行われる。低反発の金属バットが本格的に導入されて2季目の今大会だが、準決勝終了時点で大会の総得点が既に…

準決勝までの全試合で安打を記録している横浜の阿部葉太=阪神甲子園球場で2025年3月26日、長澤凜太郎撮影

 低反発の金属バットなのに総得点が増えている――。

 選抜高校野球大会は30日、阪神甲子園球場で横浜(神奈川)と智弁和歌山による決勝が行われる。低反発の金属バットが本格的に導入されて2季目の今大会だが、準決勝終了時点で大会の総得点が既に前回大会を70も上回っている。

 さらに、低反発バット導入前を含む2010年以降の各大会と比較しても、総得点数は上位に入る。

2010年以降で3番目に多い総得点

 打球速度などが落ちる低反発の金属バットは、打球による投手の受傷事故防止などのために導入された。本格的に導入されて1年目だった24年の総得点は、31試合で200だった。

 一方、今大会は準決勝までの30試合で270となり、既に前回大会から大幅に増加している。

 低反発バットが本格導入される直前の大会と比較しても、第95回記念大会で出場36校だった23年は245(35試合)、22年は263(30試合)、21年は242(31試合)で、いずれも今大会の総得点が上回った。

 2010年以降で比較しても、今大会は3番目に多い総得点となっている。今大会を上回っているのは、引き分け再試合が2試合あった17年の333(33試合)、第90回記念大会で出場36校だった18年の331(35試合)だけだ。

1試合の平均安打数、犠打数も増加

 前回の24年は低反発バットの本格導入により、得点や長打の減少が顕著な大会だった。一方、24年と今大会の準決勝までを比較すると、攻撃面で数字がアップしている項目が目立つ。

 本塁打数は今大会が6本(うち2本はランニング本塁打)。一方、24年は3本(うち1本はランニング本塁打)で、金属バットがセンバツに導入された1975年以降で大会最少だった。

 1試合平均の安打数は24年の14・61から17・30に増え、低反発バットへの対応力が向上していることがうかがえる。

 一方、1試合平均の犠打数も3・87から4・20に増加しており、確実に走者を進めて手堅く1点をもぎ取る攻撃が浸透していることがうかがえる。今大会の平均三振数は10・63で前回の12・42から減少している。【下河辺果歩】