ラスベガス決戦で圧倒的優位に立つ井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 人生を懸けるビッグマッチに挑むチャレンジャーの鼻息は荒い。来る5月4日に米ラスベガスのT-モバイルアリーナでボクシング4団体統一スーパ…
ラスベガス決戦で圧倒的優位に立つ井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
人生を懸けるビッグマッチに挑むチャレンジャーの鼻息は荒い。来る5月4日に米ラスベガスのT-モバイルアリーナでボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)と対峙するWBA世界同級1位ラモン・カルデナス(米国)だ。
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挑戦者にとってこれ以上にない檜舞台だ。相手は、いまや現ボクシング界で「世界最強」とも称される絶対王者の井上。さらに試合が行われるのは、業界屈指のビッグマッチが組まれるメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」の一週間にあたるため、国際的な注目度も桁違いである。
そんな文字通りの大一番に向け、カルデナスは強い決意を示す。米スポーツ専門局『ESPN』のメキシコ版のYouTubeチャンネル「Knock Out」に出演した29歳は、「この試合が決まったことは、本当に、本当に、めちゃくちゃ嬉しいね」と井上戦の実現に感謝を吐露。
さらにカルデナスは「誰も俺たちを本気でサポートしようとはしてなかった。だから、俺は父さんと一緒になってチャンスを探した。その中で家族がしてきた犠牲と努力が実を結んだと思う」と、一時はプロモーターのサポートを得られずに苦心した過去を明らかにし、今回の一戦がいかに重要であるかを強調した。
チャンスに恵まれない苦しい日々を乗り越えたどり着いた井上戦。無論、現時点での世間の下馬評は、「圧倒的王者有利」の向きがある。それは両雄の実績を考慮した至極真っ当な反応と言えるが、カルデナスは「みんな、『ラモン・カルデナスにチャンスはない』と言っている。そういう声は耳に入っているか」と問われた際に「ハハッ」と笑いながら、切り返している。
「もちろん聞いているよ。でも、正直言って、そういう声を聞くたびに笑っちゃうんだ。だって、プレッシャーを感じているのはむしろ向こうだからね。俺は失うものは何もないし、得るものは山ほどある。だから、自分の仕事を全うするだけだと思っている」
さらに「俺は自分が何者かを世間に見せるのが楽しみで仕方がない」と語気を強めるカルデナスは、こうも続けている。
「ファイターとして、俺は誰も恐れない。それはイノウエに対しても変わらない。それはハッキリしているよ。俺は誰に対して怯まない。もちろん、彼が素晴らしいファイターだってことは分かってる。そういう評価を得るだけの実績だってあるからね。でも、それが彼を恐れる理由にはならない。イノウエも腕は俺と同じ2本だし、足も同じだ」
独特な表現でもって井上をけん制したカルデナス。王者に敬意を示しつつも、「俺は恐れない」と強調する姿には、チャレンジャーとしての強い覚悟がにじみ出る。
地力の差を見せつけられての完敗か。はたまた、歴史的なアップセットか――。「この試合が俺の人生を変えるってことは分かってる」と強調するカルデナスがいかに井上に挑むかを興味深く見守りたい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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