◇メジャー初戦◇マスターズ 事前◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)オーガスタナショナルGCの13番ホール(パー5)は、大会で極めて重要な役割を果たしている。「アーメンコーナー」として名高い3ホールの最後で…

◇メジャー初戦◇マスターズ 事前◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)
オーガスタナショナルGCの13番ホール(パー5)は、大会で極めて重要な役割を果たしている。「アーメンコーナー」として名高い3ホールの最後で、かつてボビー・ジョーンズが語った「重大な決断」をプレーヤーに迫るホールでもある。
ほぼ全選手がグリーンに2打で届くが、傾斜のきついフェアウェイからクリークに囲まれたグリーンに向け、ロングアイアンかフェアウェイウッドで打たなければならない。それを成功させればバーディ、あるいはイーグルチャンスが訪れる。しかし、ティショットもまた重要だ。ドッグレッグのコーナーを回り込んでフェアウェイを捉えるには、右側の林と左側のクリークの間を通す、右から左に大きく曲げるショットが要求される。
飛距離と弾道のバランスが求められるショットだが、選手は敷地内の静かな一角にあり、パトロンから数百yd離れていて、オーガスタナショナルの終盤を迎える前に最後の静寂な一時を過ごせるホールでよりよい成果を挙げたい。
13番のティショットは、選手にオーガスタ攻略のためのギアセットアップ再考を促すいくつかのティショットの一つでもある。13番、2番、そして10番はティショットで大きなドローが必要で「マスターズはドローヒッター有利」という長年の考え方に一役買っている。
しかしながら、近年の低スピンボール化から、PGAツアーでは「パワーフェード」のティショットが主流になった。フェードはコントロールが効く上、進化の著しいテクノロジー向上により以前ほど飛距離を犠牲にしなくて済むようになった。また、近年のドライバーは高慣性モーメントのためドローが打ちにくい。
多くの選手がティショットでドローを打つために3番ウッドに頼ってきた理由はここにある。小型ヘッドと、フェース寄り前方に重心位置があることで右から左へ曲げるショットが打ちやすいのだ。しかし、そこにはミスヒットのリスクが高まる可能性もはらんでいる。
この難問の解決策が2025年ギア界最大のトレンドとも言えるミニドライバーである。選手の求めるハイロフトに加え、ヘッド形状が3番ウッドより大きく、寛容性の高さも兼ね備えている。

ミニドライバーは、フェアウェイウッドに比べて飛距離とフェースの面積が大きく、ドライバーより操作性が優れているため、現代ゴルファーには「両方の良いとこ取り」として設計されている。ドライバーと3番ウッドの中間にある「スイートスポット」にはまったクラブと言えるだろう。
PGAツアーにおけるミニドライバー使用率は、ここ数年で飛躍的に上がった。ブームの火付け役は2023年序盤に姿を現したテーラーメイドBRNRであり、トミー・フリートウッド(イングランド)やアダム・スコット(オーストラリア)らがいち早く取り入れた。今では、主要メーカーほぼ全てが独自のミニドライバーを出している。キャロウェイの新エリートミニ、タイトリストのGT280、コブラのプロトタイプの“ザ・デュース”2番ウッドといった具合に。
テーラーメイドで上級ツアーマネジャーを務めるエイドリアン・リートベルド氏は「私はこれをミニドライバーのシーズンと呼んでいます。オーガスタナショナルのスタッツを確認すると、フェアウェイを外すことによりフィールドに対して0.5打失うことになるホールがあります。では、どうやってフェアウェイを捉えればいいのか?3番ウッドを使うべきか?そうなれば(飛距離が落ちるため)本当にフィールドに対して何かを譲ることになります。しかし、ミニドライバーのようなクラブは丁度良い折衷案となり、フェアウェイを捉えつつ十分な飛距離も出ますので、統計的に、4ラウンド合計でフィールドに対して差をつけることができるでしょう。オーガスタは全てのショットが重要となるタイプのゴルフコースであり、ミニドライバーを使えば、そうしたショットがより簡単に打てるようになると思います」と語った。
オーガスタナショナルで、ミニドライバーがアドバンテージになるのは、13番だけではない。
フリートウッドは、「2番はティが奥になった今となっては、(右サイドのフェアウェイバンカーを)キャリーで越えられないのなら、あそこに届かないミニで(ティショットを)打てる。それでもまだ(2打目で)グリーンからグリーン周りには届かせることができるからね。僕にとっては、10番もドライバーで曲げられる状況でなければ、ミニドライバーに最適だと思う。13番はミニドライバーで曲げられるので、ピッタリだ。18番も同じで、左のバンカーに届かせないよう、ミニドライバーで打てる。だから(ミニドライバーを)打てるホールはいくつかあるんだ」と話す。
オーガスタナショナルでのミニドライバー、または「2番ウッド」の使用について尋ねられたコブラのレップ、ベン・ショーミン氏はさらなる見解を述べた。
「13番のように飛ばし過ぎたくないし、飛距離を抑え過ぎたくもないホールはたくさんあると思います。もし自信を持って右から左へ曲げるショットが打てるクラブがあるなら(マスターズでは)13番だけでも、一考の価値があるでしょう。あのホールはティショットを然るべき位置へ置くことが重要。10番もそう。2番ウッドの方がティから簡単にドローを打てるのであれば、そちらの方が良い選択肢になるでしょう」
オーガスタでドローを打つために選手たちは新たなオプションを手にしている。(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)