5月14日、サッカー元日本代表の鈴木啓太氏が社長を務める、アスリートの腸内細菌を研究する「AuB(オーブ)株式会社」は、『FIFA』シリーズのプロ選手である、つぁくと選手、アグ選手が所属するプロeスポーツチーム「Blue United eF…

5月14日、サッカー元日本代表の鈴木啓太氏が社長を務める、アスリートの腸内細菌を研究する「AuB(オーブ)株式会社」は、『FIFA』シリーズのプロ選手である、つぁくと選手、アグ選手が所属するプロeスポーツチーム「Blue United eFC」と、健康サポート領域で提携したことを発表した。

同社は、これまでサッカーや野球など一般的なスポーツのプロ選手らの腸内環境を解析し、健康管理に役立つコンディショニングサポート事業を展開。高い集中力と試合を勝ち抜く体力などが要求されるeスポーツにおいても、その知見が生かせると判断し、同チームと提携に至ったとのこと。

以下、本提携の具体的な健康管理や能力向上に生かす取り組みをお伝えする。

■腸内細菌や食事など、4つの視点でコンディショニングをサポート


(写真:左より、Blue United eFC所属アグ選手、つぁくと選手)

「ブルー ユナイテッド イーエフシー」とはパートナー契約を締結し、所属選手2人のコンディションを腸内から整える取り組みを行います。具体的には、「腸内細菌」「免疫力」「食事」「睡眠・疲労」の4つの視点でコンディショニングに寄与します。

まず、選手の便検体から腸内細菌の種類や量、割合を解析します。その結果を、IgAという免疫に関わる物質の数値や心拍および睡眠などの健康関連データ、日々の食事内容の記録と照らし合わせ、相関関係を調べます。疲労度の指標として用いるIgAの数値は、唾液検査で測ります。健康関連データの取得は、ウエラブル端末を活用します。
こうして腸内環境の問題点をあぶり出し、例えば食事指導による腸内環境改善で、「睡眠」や「疲労回復」といった選手の抱える課題の解決を試みます。腸内細菌の解析は当社が行い、栄養サポートも管理栄養士や公認スポーツ栄養士などの資格を持つ社員(AuBアスリートサポートチーム)が担います。解析から具体的なサポートまで一気通貫で支援します。

本契約は、「アスリートの腸を整えることでコンディションを維持し、パフォーマンス向上に役立ちたい」という当社の考えに「ブルー ユナイテッド イーエフシー」が賛同し、締結に至っています。

引用:AuB社プレスリリース https://aub.co.jp/news/

■選手に腸活サプリ、プロテインの提供も


(写真:アスリートの研究結果から誕生した、腸内環境のベースを形成するサプリメント「AuB BASE」・左と、筋肉と腸と栄養の関係に着目したプロテインの「AuB MAKE」・右)

パートナー契約の期間中、腸内環境のベースを形成するサプリメント「AuB BASE(オーブ ベース)」と、“筋肉と腸と栄養の関係”に着目したプロテイン「AuB MAKE(オーブ メイク)」を選手に提供します。双方の摂取で、コンディションの土台となる「腸」を整えていただきます。

また今回のパートナー契約の一環として、チームが試合中に着用する公式ユニホームに当社AuBのロゴを掲出します。

引用:AuB社プレスリリース https://aub.co.jp/news/

■鈴木啓太氏とAuB社の取り組み

-元浦和レッズ・サッカー日本代表の鈴木啓太氏が社長

AuBは2015年10月創業の、アスリートの腸内細菌を研究する企業。代表取締役の鈴木啓太氏は、サッカーJリーグ浦和レッドダイヤモンズの元プロ選手(2000.1-2016.1)で、日本代表(A代表)としても活躍。同氏は、栄養士の母に幼少の頃より「人間は腸が一番大事」「便を見なさい」と教育され、腸内環境の重要性をいち早く認識し、現役時代からお腹でコンディショニングを整えてきたとのこと。

-「茶色いダイヤ」と注目の便、集めた数はアスリート700人超

スポーツ界の人脈を生かして集めた便の数は現在、選手700人分を越え、その検体数は1400を突破しているとのこと(2020.4時点)。対象の選手らは、オリンピックの金メダリストをはじめ、海外の一流クラブやJリーグに所属するサッカー選手、プロ野球選手など、28種のトップアスリートたちとのこと。収集した便からDNAを採取し、腸内細菌の集団(腸内フローラ)を解析して、そのデータをもとに各大学など研究機関と、腸内フローラがヒトにもたらす効果を解明する研究を進めている。

-腸内細菌を調べて選手をサポート、筋肉がつく腸内環境を作る助言

協力してくれる選手らには、各人の腸内フローラの状況(腸内細菌の種類と数、構成等)をレポートで報告し、AuBの管理栄養士が腸内環境の改善を意識した食生活をアドバイスを行っている。食事調査や血液検査、尿検査でも判明できないことが、腸内環境の観点から回答可能な事例もあるとのこと。例えば、筋肉のつきにくい選手は、「腸内細菌の多様性(種類やバランス)」と「筋肉の形成にかかわる菌の数」が低く、「菌の構成が栄養を吸収しにくい状況」にある例などが挙げられる。

■腸内細菌と肉体と精神のパフォーマンス

AuB社のアスリートの腸内環境の研究の一環に、eスポーツ選手が含まれたことは、eスポーツ選手もアスリートであることの世の中の認識へ繋がる、画期的な取り組みと言える。コロナ禍で健康に対する意識が高まる中、腸内細菌と肉体と精神のパフォーマンスの関係性の解明は大いに期待されており、同社の研究結果は、アスリート領域のみならず、頭脳を酷使するビジネスパーソンを始め、より一般の人々の健康にも寄与されることであろう。

(文●Shuji Yoshida)
(編集●VAMOLA eFootball News編集部)