F1第4戦バーレーンGPレビュー(後編) F1第4戦バーレーンGP決勝。10番グリッドからのスタートとなった角田裕毅にとって、決して楽な展開にはならなかった。 スタートからルイス・ハミルトン(フェラーリ)たちと果敢に戦い、さらに上を目指して…
F1第4戦バーレーンGPレビュー(後編)
F1第4戦バーレーンGP決勝。10番グリッドからのスタートとなった角田裕毅にとって、決して楽な展開にはならなかった。
スタートからルイス・ハミルトン(フェラーリ)たちと果敢に戦い、さらに上を目指していった。だが、レッドブルは2台ともにピットストップシグナルにトラブルが発生して大きくタイムロスし、ピットストップでポジションを落としてしまった。
さらに3周フレッシュなタイヤで攻めてくるカルロス・サインツ(ウイリアムズ)とのバトルで、角田は2度にわたってマシンが接触するなど、タイムロスも喫した。
角田裕毅の見事な走りにチームスタッフも賞賛
photo by BOOZY
しかし32周目、セーフティカーが入ったところでレッドブルの戦略が光った。
「あそこでソフトに履き替えたのは驚きでしたけど、あれはレッドブルだからこそだと思うし、さすがレッドブルだなと思いました。ソフトを履くとは思っていませんでしたから」
第2スティントでミディアムを使ってしまっていた角田に残されたのは、ハードかソフト。しかし、ハードは第2スティントでフェルスタッペンがペース不足に苦しんでおり、レッドブルはまだ20周以上の周回が残るものの、ソフトタイヤを角田に履かせた。
その攻めの戦略に対して、角田もしっかりと応えてタイヤを保たせながら、前のジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)を抜いて9位に浮上してみせた。
土曜から重めのリアウイングを選択していた角田は、ストレートスピードが伸びず、前のエステバン・オコン(ハース)を抜ききれなかった。ただ、軽いウイングのフェルスタッペンが最後にようやくピエール・ガスリー(アルピーヌ)を抜いて6位でフィニッシュするのが精一杯だったことを思えば、十分に賞賛されるべきレースだった。
しかし、角田はそれに満足してはいなかった。いや、もっといけるという手応えをつかんでいた、と言うべきだろうか。
「みんなごめん、ペースはあったのに......」
これに対し、クリスチャン・ホーナー代表は「いい努力だったよ、ユウキ。このチームで初ポイントだ。大丈夫、よくやった。すばらしいドライビングだった」と声をかけた。
【マシンに対する自信は深まった】
ホーナーに感謝を伝えた角田は、パルクフェルメにマシンを停めてから、レースエンジニアのリチャード・ウッドにも続けた。
「全力は尽くしたよ。ポイントが獲れたのはよかった。プッシュし続けよう。みんなありがとう」
それにウッドも「本当にそのとおりだ。いい前進が果たせたと思う。プッシュし続けよう」と応えた。
悔しさもありながら、それでも角田は昨年11月の第22戦ラスベガスGP以来となるポイント(9位)を、レッドブルの2台目のマシンにもたらした。
レース週末のなかで試行錯誤を繰り返し、満足のいくセットアップとはまだ言えないマシンで、レッドブルに来て2戦目としては十分に合格点のレースだった。
自身が置かれた状況を考えれば、今後に向けた光明が見えたレースでもあった。
「マシンに対する自信はかなり深まったと思います。毎週違った課題に直面していますし、うまくいくこともあればうまくいかないこともあるので、そういうアップダウンの過程は当然だと思っています。そこは一歩ずつ学んでいくしかないと思います。
来週のサウジアラビアGPでも同じような状況になるかもしれませんし、金曜の走り始めは苦戦するかもしれませんけど、新しいことをアグレッシブにトライして前に進んでいければと思っています。焦りはないです。ここまで、これだけの速さで前進してこられていることに満足しています」
レッドブル・レーシングの角田裕毅は、まだまだこれから強くなっていく。