5カード、13試合を終えて阪神は6勝6敗1分けの勝率5割で2位。今年も“投高打低”の印象が強いが、ここからエンジン全開となるのか。気になる藤川阪神の行方について、デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は「手探り状態が今後も続くのではないか」と…

 5カード、13試合を終えて阪神は6勝6敗1分けの勝率5割で2位。今年も“投高打低”の印象が強いが、ここからエンジン全開となるのか。気になる藤川阪神の行方について、デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は「手探り状態が今後も続くのではないか」と予測した。

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 藤川監督の頭の中には「先々へ向けていろいろ試したい」という考えがあるようだ。打線についても投手についても。先日、少し話をする機会があったけど、その時は佐藤輝の“存在”を気に掛けている様子だった。幻に終わったけど、この日発表されたも4番もその一環だろう。

 (13日の中日戦は結局雨天中止となったが、試合前に発表された佐藤輝の打順は藤川阪神初となる4番だった)

 外から見ていたのとは違い、中に入りユニホームを着て初めて分かることがある。さらに言えば選手の力量把握はできたとしても、チーム状態や好不調の波は一定ではないし、相手戦力との相性や適正もある。各球団とひと通り対戦したところで、改めて思うところもあるかもしれない。

 佐藤輝に望むのは東京ドームで見せた左方向への本塁打の再現。ケラーの外角直球を素直にはじき返したあの一発だね。甲子園ではどうも引っ張りにかかる傾向がある。掛布さんのように“浜風に乗せる”という意識をもてばいいんだけどね。

 今年は三振の数がやけに目立つが、かつてほど完全なボール球に手を出している印象はない。ただ、打てる球をファウルにする“打ち損じ”は多い。まずはここの解消からだろう。

 投手起用に関しては一つ疑問に感じることがあったね。藤川監督は“まだ始まったばかりで先は長い”と考えているが、だからこそ巨人戦で先発初勝利を挙げた富田にはローテを飛ばさずに投げさせてほしかった。

 (富田は4月5日の巨人戦に先発し、5回を3安打、1失点で勝利投手となったが、その後、出場選手登録を抹消。12日のくふうハヤテ戦に調整登板した)

 若い富田にはグイグイ伸びていく可能性があるし、乗せていきたいところ。本人もその気になっていただろうから、ちょっと残念だった。

 代わりに投げたのが今季初先発となった西勇だが、12日の中日戦の投球を見る限り、ボールに力がないしキレが乏しいから、いいコースに決まっても打たれていた。藤川監督には、ベテランを腐らしてはいけないとの思いがあるのかな。先々戦力として必要になるだろうが、今は富田らの若手を優先して使う方がいいのではないか。

 監督1年目。試行錯誤を重ねながらのシーズンになるのは仕方がない。しかし、目の前にある成長の果実を取りに行くのも大事だと思うね。