ドジャースのエースとしての地位を固めつつある山本。(C)Getty Images 現地時間4月12日、本拠地でカブスを迎え撃ったドジャースは0-16と大敗。ことホームゲームでの16点差での敗戦は球団ワースト記録となった。 球団史に残ってしま…

ドジャースのエースとしての地位を固めつつある山本。(C)Getty Images

 現地時間4月12日、本拠地でカブスを迎え撃ったドジャースは0-16と大敗。ことホームゲームでの16点差での敗戦は球団ワースト記録となった。

 球団史に残ってしまった大敗劇は、今季MLB最多となる96得点を誇るカブス打線の凄みを浮き彫りにするとともに、前日に異彩を放った日本人右腕の快投を再評価させるものでもあった。

【動画】見たか!山本由伸、カブス打線相手に圧巻の三振シーン

 まさに手も足も出ない投球だった。現地時間4月11日の同カードに先発したドジャースの山本由伸は、3回までパーフェクトピッチ。4回こそ連打でピンチを背負うも無失点で切り抜けると、6回(103球)を投げて2安打、無失点、9三振の力投。カブスに今季初完封負けを喫させた。

 あくまで4先発とサンプルは少ない。それでも2勝を挙げ、防御率1.23、WHIP0.91は圧巻。開幕からブレることなく続く、相手打線を牛耳るエースらしい投球は、苦心が続いた1年目からの成長を大いに感じさせる。

 相手に的を絞らせない山本の多彩な投球には、往年の名投手も舌を巻く。カブスの地元スポーツ専門局『Marquee Sports Network』で解説を務め、現役時代にMLB通算132勝&87セーブを挙げたライアン・デンプスター氏は、11日の試合後の中継番組内で「今のヤマモトは本当にエグい投球をしている。我々(カブス側)からしたら拍手を送るしかないっていうものだった」と指摘。そして、真価を発揮する小柄な日本人右腕への評価を続ける。

「92マイルのスプリットやカッター、カーブもしっかりと織り交ぜていた。しかもほとんどのボールが四隅を突いていた。あの6イニングは文句がつけようがないほど完璧だ。ああいうどうしようもない時はえてしてあるんだけど、このヤマモトはそういう投球をした。

 伸びのある速球に、スプリットはメジャートップクラス。どれだけ粘ってもミスを一切犯さないから押し切られてしまう。あれぐらいキレと制球とともに完璧なボールを投げ分けられたら、選手全員がオールスター級の打線でも打つのは無理だ。実際、カブスは大きなダメージも与えられなかった」

 過去に沢村賞とサイ・ヤング賞を手にした投手は、世界広しと言えども、一人もいない。そんな“金字塔”を山本ならやってのけてしまう可能性は大いにある。無論、レギュラーシーズンはまだ始まったばかりだが、強力カブス打線をねじ伏せた投球は、偉業を期待せずにはいられなくなるものだった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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