「広島1-0巨人」(12日、マツダスタジアム) ベンチの広島・新井貴浩監督は食い入るように打席の矢野を見つめた。「あそこはもう、腹を決めて(サインを)出した」。1打席で2度目のスクイズのサイン。自らが振った決死のタクトに矢野が応えて、三走…
「広島1-0巨人」(12日、マツダスタジアム)
ベンチの広島・新井貴浩監督は食い入るように打席の矢野を見つめた。「あそこはもう、腹を決めて(サインを)出した」。1打席で2度目のスクイズのサイン。自らが振った決死のタクトに矢野が応えて、三走・田村が本塁に滑り込むと拳を強く突き上げた。
0-0で迎えた三回1死から田村が中越え三塁打で出塁。指揮官は初球にスクイズのサインを出したがファウルとなっていた。その3球後、カウント2-1から再びスクイズを指示。矢野は外角のボール球に身を投げ出しながらバットに当てて投前に転がし、決勝の先制点を奪った。
「ボール球で難しい球だったけど、本当に矢野がよく転がしてくれたと思う」と指揮官。自軍スコアラーからは赤星の「状態が良い」という報告が入っていた。さらに「相手は強力中継ぎ陣がいる」。前日は12得点で大勝し、さらには本拠地で4戦連続7得点以上を挙げている中で迎えた試合だったが、カープらしい手堅い作戦で1点をもぎ取った。
チームは本拠地・マツダスタジアムで6連勝を飾り、昨年9月4日以来の首位浮上。「何試合や!まだ一回りもしていない」と笑い飛ばした新井監督だが、「選手は『行けるぞ』というふうに思ってくれていると思う」とうなずいた。若手の多い発展途上のチームは勝利を重ねるごとに勢いづいていく。