広島・矢野、決勝スクイズ&9回に超美技■広島 1ー0 巨人(12日・マツダスタジアム)「忍者」が完封勝利を“演出”した。広島の矢野雅哉内野手が12日、マツダスタジアムで行われた巨人戦に「2番・一塁」で出場。3回にスクイズを決めて虎の子の1点…

広島・矢野、決勝スクイズ&9回に超美技

■広島 1ー0 巨人(12日・マツダスタジアム)

「忍者」が完封勝利を“演出”した。広島の矢野雅哉内野手が12日、マツダスタジアムで行われた巨人戦に「2番・一塁」で出場。3回にスクイズを決めて虎の子の1点をもぎ取り、9回2死から超美技を披露して1-0の勝利に貢献した。床田寛樹投手の2年ぶりとなる完封を攻守にアシスト。現役時代にヤクルト、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「非常に素晴らしいプレー」と絶賛した。

 0-0で迎えた1死三塁のチャンス。矢野は初球スクイズを敢行したものの、外角低めのフォークをファウルにした。カウント2-1からの4球目、再び投じられた外角低めのフォークに倒れ込みながらバットに当ててスクイズ成功。結果的にこれが決勝点となった。

 野口氏が「凄く締まった、いい試合だった」というように、再三走者を出しながら両チームの守備が安定。ここぞという場面でファインプレーが続出した。そんな展開で最後を締めたのが矢野だ。9回2死一、二塁と一打同点のピンチ。中山の痛烈なライナーが三遊間を襲ったが、横っ飛びでダイビングキャッチし、勝利もつかみ取った。

 亜大から2020年ドラフト6位で入団した矢野は、驚異的な守備範囲と強肩で何度も相手の安打性の当たりを“強奪”。その軽快な動きから「忍者」とも称される。遊撃のレギュラーに定着した昨年は自己最多の137試合に出場してゴールデン・グラブ賞を初めて受賞。いまや球界屈指の名手となりつつある。

「ピンチでもショートに飛んだら安心できる」

 難しいプレーをファインプレーに見せない守備力が光る。野口氏は「もう、みんな当たり前のように感じて見ているけど、矢野の守備が本当に効いている。ピンチでもショートに飛んだら安心できる。ショートに打たせれば何とかなるし、矢野が捕れないんだったら誰も捕れないから仕方がないってなる」と評価する。

 1-0完封勝利を挙げた床田については「抜群ではないけど、ピンチを迎えながらいろんな球種をストライクゾーンに入れて、粘りのあるいいピッチングをしていた」と説明。僅差の展開ながら球数も多くなく「最後まで投げさせると思って見ていました。バッターをよく見て、いいコースに投げていたし、初回以外はバタバタするところが全くなかった」と解説した。

 そんな床田の9回の窮地を救い、チームを今季初めて単独首位に浮上させた矢野のビッグプレーには「あれは本当に凄いよ」と舌を巻く。広島の名手といえば2023年まで二塁手部門で10年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得した菊池涼介内野手が有名だったが、今や引けを取らない動きを披露する。日本を代表する守備職人となった5年目の26歳。ため息が出るほどのスーパープレーを、今年も見せ続けてくれそうだ。(尾辻剛 / Go Otsuji)