「広島1-0巨人」(12日、マツダスタジアム) セ界の貯金独占じゃ!広島が3連勝で、昨年9月4日以来の首位に浮上した。貯金を今季最多の「2」とし、セ・リーグ唯一の勝ち越し球団となった。先発の床田寛樹投手(30)が123球の熱投で2年ぶりの…

 「広島1-0巨人」(12日、マツダスタジアム)

 セ界の貯金独占じゃ!広島が3連勝で、昨年9月4日以来の首位に浮上した。貯金を今季最多の「2」とし、セ・リーグ唯一の勝ち越し球団となった。先発の床田寛樹投手(30)が123球の熱投で2年ぶりの完封。8安打を浴び、得点圏に6度も走者を背負ったが、粘りの投球で今季初勝利を手にした。

 27個目のアウトを取り、ようやく床田のポーカーフェースが崩れた。「あぶね~」と白い歯をこぼしながら仲間たちとハイタッチを交わす。2年ぶりの完封勝利。達成感と心地よい疲労感が体を包んだ。

 「何とか長いイニングをと思ってマウンドに上がった。最後まで粘り切れてよかったです」

 6度得点圏に走者を背負うも、ホームは踏ませなかった。圧巻だったのは、七回2死一、三塁で代打・大城卓と対峙(たいじ)した場面。この日最速の151キロ直球で追い込むと、最後は149キロ直球で空振りを奪って3球三振。「絶対追いつかれたくなかったので、力を振り絞って投げました」と、帽子が脱げそうになるほどに腕を振った。

 九回は2死一、二塁のピンチを背負ったが、中山が放った三遊間への打球を矢野がダイビングキャッチ。23年8月17日の阪神戦以来となる完封勝利を手にし、「回の途中で代わるのが一番よくないので、ほっとしました」と123球の熱投を振り返った。

 ここ2年は大瀬良、森下とともに先発3本柱を担い、2年連続で11勝をマークして「左のエース」の地位を確立した。それでも自身の成績に合格点を与えていない。「数字と手応えとでギャップがあるというか。まだできたんじゃないかって、モヤモヤがあるんですよね」と満足感はなかった。

 今の力で押す投球スタイルで勝ち星を積み重ねられるのは、「多分ようやってもあと5年かな」と将来像を思い描く中、オフに転機が訪れた。昨季、現役を引退した野村が着用していた背番号「19」を継承。「この番号を汚すことはできない」と覚悟を持って背負うことを決めた。「圧倒的な成績を残してエースへの階段を上りたい」。3月に30歳を迎えた左腕は決意新たに今季に臨んでいる。

 チームは3連勝で本拠地6連勝とし、昨年9月4日以来の首位に浮上。貯金2は今季最多で、リーグの貯金を独り占めにするのは18年9月12日以来、7年ぶりだ。「また苦しい試合もあると思いますけど、精いっぱい頑張ります。応援よろしくお願いします」とお立ち台で頭を下げた床田。3登板目でつかんだ今季初白星。キャリアハイを目指し、快投を続けていく。