◇大同生命SVリーグ 最終節 ヴォレアス北海道 3-2 日鉄堺(13日・リクルートスタッフィング・リック&スー旭川体育館) ヴォレアス北海道が3―2で日鉄堺を下し、今季初の同一カード連勝でシーズンを締めくくった。2025―26シーズンのSV…
◇大同生命SVリーグ 最終節 ヴォレアス北海道 3-2 日鉄堺(13日・リクルートスタッフィング・リック&スー旭川体育館)
ヴォレアス北海道が3―2で日鉄堺を下し、今季初の同一カード連勝でシーズンを締めくくった。2025―26シーズンのSVライセンス審査で「継続審議」となっている中、旭川開催最多動員となった観客と一体となり、会場に駆けつけたリーグの大河正明チェアマン(66)の前で最高の“アピール”に成功した。
2日連続のフルセット。ヴォレアス北海道がマッチポイントを握ると、会場のボルテージは最高潮に達した。15―14。チーム最多となる23点を挙げたOP張育陞(チャン・ユーシェン、25)がアタックを決めて最後の16点目を奪うと、選手はコート場で輪になって喜びを爆発させた。
最下位が確定した状況で迎えた今季最終戦。今季は節をまたいでの連勝が1度あったが、同一節間での連勝はなく、「前日に勝ってる分、相手チームは止めてこようと準備してくる。昨日の試合では十分ではないので、気持ちを新たにレベルを上げていこうと話をした」とエド・クライン監督(43)。12日に続き、この日も第1セットを落とし先に2セットを奪われたが、2230人が駆けつけた観客の声援を背に巻き返し。第4、5セットを連取し、チームカラーの赤に染まったホームで意地を見せた。
来季も国内最高峰のリーグに残るにはSVライセンスを取得する必要があるが、コロナ禍の影響で続いていた債務超過の状況などを問題視され、3月18日の理事会では「継続審議」となった。降格の可能性もある中、緊急の応援企画で約1000万円を売り上げたほか、この日は旭川開催過去最多となる観客が足を運び、「熱気とファミリー感ある応援は24クラブある中で1番」と大河チェアマン。ファンの力も借りながら“残留”に向けて歩みを進めてきた。
今期の売り上げは、SVリーグライセンス基準の4億円を上回り、昨期の約2・5倍となる5億5千万円程度になる見込み。増資などにより債務超過も解消される見込みで、池田憲士郎社長は「できることはすべてやり切った」。次回の審査は4月16日。残留か降格か。吉報を信じて運命の日を待つ。
(島山 知房)
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今季限りでの引退を表明している岩見沢市出身のMB田城貴之(33)が第2、4セットにピンチサーバーとして出場。「気力も体力も体のすり減りも含めて出し切って、もう体が全く動かないという気持ち。悔いなくバレー人生をやり切れた」と笑顔で現役最後の試合を終えた。
とわの森三愛高から筑波大に進み、卒業後はパナソニックに入団。ヴォレアスのVリーグ初参戦前の17年8月に移籍してきた。高いブロックと速攻を武器にV3からV2、V1と昇格に貢献。運営会社の「株式会社VOREAS」で営業も担当し、22年10月からは同部門の責任者も担ってきた。
試合後のセレモニーでは営業マン、選手としての8年間を振り返るとともに、チームのさらなる発展を願ってこう呼びかけた。「元気とかパワーを与えられるようなことができればと頑張ってきた。ヴォレアスに残る選手、スタッフの皆さんも元気を与えられるような存在であり続けてほしい」。最後は自慢の筋肉を見せつけながら、「パワー」と絶叫してコートに別れを告げた。