◆自動車レース スーパーGT開幕戦 (13日・岡山国際サーキット=1周3・703キロ) 82周で決勝レースが行われた。GT500は史上初の3年連続総合優勝を目指すauトムスGRスープラ(坪井翔、山下健太組)が優勝。開幕戦を制し、歴史的偉業…
◆自動車レース スーパーGT開幕戦 (13日・岡山国際サーキット=1周3・703キロ)
82周で決勝レースが行われた。GT500は史上初の3年連続総合優勝を目指すauトムスGRスープラ(坪井翔、山下健太組)が優勝。開幕戦を制し、歴史的偉業に向けて、順調な滑り出しを果たした。2番手スタートから11周目にトップに躍り出ると、雨中の荒れたレースを沈着冷静に走り切った。GT300は昨年の総合2位のレオン・ピラミッドAMG(蒲生尚弥、菅波冬悟組)が優勝。雪辱に向けて好発進した。
威風堂々とした走りには貫禄が漂っていた。いきなり3台のマシンが絡むクラッシュから始まった雨中の荒れたレース。auトムスは、黄旗(減速が義務付けられ追い抜き禁止)や赤旗(中断)が振られても焦らず慌てず、沈着冷静にレースを進めた。テスト走行を重ねたマシンを信じ、トップとの差を詰めると、セーフティーカー(SC)が抜けた11週目。坪井がトップをかわすと82週を走り切った。開幕戦を制し、山下は「昨年、チャンピンを取った力を示すことができた。全体的に完璧なレースだった」と胸を張った。
12日の公式予選のQ2のタイムアタックで坪井は1分16秒516のコースレコードを記録したが、最後に同じトヨタの福住仁嶺(エネオスXプライムGRスープラ)に塗り替えられ、2番手スタートを余儀なくされた。「めちゃくちゃ気合が入っていた」と臨んだ決勝で見事に雪辱。「昨日のことがあったから今日があった。本当にうれしい」。笑顔はなく、引き締まった表情から借りを返した満足感が漂っていた。
auトムスには3年連続総合優勝という歴史的快挙がかかっている。山下は「(開幕戦は)いいレースだった。実は今年は年間4勝を目指している。開幕戦と次のレース、最終戦とその1つ手前のレースには勝つ可能性があると思う。次のレースで勝てたら、4勝はできる。去年は3勝しかできなかったので、そこを目指したい」と断言。全8戦中半分となる4戦を勝ち、圧倒的な強さを見せつける考えだ。
テスト走行の段階から「今年もauトムスが速い」と注目されていた。ただ、ライバルチームも地力を付け、徹底的にマークされている。「開幕戦で実力を示せたのは今年を占う意味でも大きい勝利。流れとしてもいいかなと思います」と坪井。偉業達成に向けて、視界は良好だ。(今関 達巳)
◆雪辱へレオン好発進
GT300を制したレオン・ピラミッドAMGの蒲生に笑顔はない。「とても難しいレースだった。最後に18号車にぶつかってしまったので、それはちょっと申し訳ないと思います」と沈痛な表情すら見せた。
残り9周。トップを走るアップガレージAMG・GT3を抜こうとして接触してしまい、アップガレージは4番手に後退。この行為でレオンには5秒のペナルティーが科せられたが、最終的に10秒以上の差があったため、開幕戦のチェッカーを受けることができた。
昨年は総合優勝まであと一歩まで迫りながら、最終戦で小暮と元嶋のランボルギーニに逆転を許した。「自分たちの力を毎回、出し切ってレースを積み重ねていくしかないと思っています」と蒲生は雪辱に燃えている。一方の菅波は「蒲生さんが今日、あまりうれしそうではなかったので、今年は蒲生さんの笑顔が見られるように頑張ります」と話していた。
◆スーパーGT アラカルト
▽スーパーGT 長距離を高速で移動できる高性能GTカーがベースのレーシングカーで競う自動車レースのシリーズ戦。GTはツーシーター、またはクーペ車の定義「グランドツーリングカー」の略。
▽いつから? 前身は全日本GT選手権で94年から。05年に名称を現行に改める
▽レース数 全8戦で開幕戦は4月。
▽クラス分け 主に500馬力のGT500、300馬力のGT300。500はメーカー系チーム、300はプライベートチーム。見分け方はゼッケンで、白の500に対し、300が黄色。トヨタ、日産、ホンダ、フェラーリ、ランボルギーニなど国内外の自動車が駆け抜ける。2クラスによる混走レースで実施。
▽参戦数 25年はGT500が15台、GT300が28台。
▽シリーズポイント 年間を通じたシリーズ戦での順位などでポイントを獲得。ドライバー部門とチーム部門のタイトル(チャンピオン)を争う。
▽観客数 シリーズ全8戦の19年実績で平均4万8000人超、年間では約39万人を動員
◆auトムス 「トムス」は1974年にトヨタのワークスドライバーだった舘信秀氏とトヨタディーラーのスポーツコーナーの責任者である大岩湛矣(きよし)氏によって設立された。95年から全日本GT選手権を戦い、2016年からKDDIのスポンサーを受けて「auトムス」としてスーパーGTに参戦。21、23、24年と3度、GT500を制している。