大相撲の二所ノ関一門では巡業に参加していない十両力士を中心に各部屋に集まり、連日激しい稽古が行われている。 13日は千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋に集まり、部屋の十両・琴栄峰(佐渡ケ嶽)、出稽古に来た同・若ノ勝(常盤山)、同・大辻(高田川)、…
大相撲の二所ノ関一門では巡業に参加していない十両力士を中心に各部屋に集まり、連日激しい稽古が行われている。
13日は千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋に集まり、部屋の十両・琴栄峰(佐渡ケ嶽)、出稽古に来た同・若ノ勝(常盤山)、同・大辻(高田川)、夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)で新十両の夢道鵬(大嶽)らによる十両力士の申し合いが行われ、計56番の白熱した稽古となった。
これまでなかった番付発表前に一門の力士が集まっての合同稽古。新しい形での稽古の狙いを、佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)が明かした。
現在幕内と十両上位の力士は春巡業に参加しており、各部屋とも残っている関取衆は少ない状況。「十両で巡業に行かずに残っている一門の力士が結構いました。そこで高田川親方(関脇・安芸乃島)と話をして、合同でやろうかという話になりました。うちには琴栄峰がいましたけれど、琴栄峰も幕下以下としか稽古ができず、力をつけていかないといけない時期なので、高田川親方に話をして『うちには大辻がいるし、白鷹山もいるから』と。さらに二所ノ関一門では宮乃風や夢道鵬も十両に上がってくるということで、いい稽古ができると思いました。またこの前は一門外からも若碇(伊勢ノ海)と大青山(荒汐)も来てくれました。やはり今が力をつけないといけない時期なので、巡業組は巡業で稽古ができますけれど、一門で若手を強くしていこうということになりました」と説明した。
20代前半の力士たちが連日30番近く相撲を取り、所属部屋の隔たりなく、各親方衆から熱のこもった指導が行われ、稽古場は活気に満ちている。「みんな同い年ぐらいですからね。幕内に上がるんだという強い気持ちでやっているから、稽古を見ていても楽しいです。いろいろな部屋で親方衆の指導の仕方も違いますから、勉強になると思います。うちの幕下・琴泰広は高田川親方から指導をしてもらって、彼の弱い部分を教えてもらって、そこを鍛えないとダメだよと。だから親方衆が集まった時でも、人が指導してもらっている時に『俺は関係がないからいいや』ではなくて、こういうことなんだなと考えることも大事だよと言っています」と、部屋の垣根を越えた交流を通して、さらなる成長を促す。
合同稽古は始まったばかりだが力士たちの成長を実感しているという。
「稽古を見ていても『俺が!』という気迫が感じられます。夢道鵬は体が一回り大きくなっていますしね。お互いに本当に刺激をし合いながらやれていて、いいことだと思います。幕下でも刺激し合いながら、『俺が!俺が!』となれば、もっともっと一門の中で活気づいていくのではないかと思います」と語った。
将来の角界を背負う力士たちへの期待も大きい。「若手が早く上がっていって、さらに盛り上げてほしいです。みんなそこまで体は大きくなくて、どちらかというと俊敏な動きをする力士たちなので、早く幕内で相撲が取れるようになると、また面白さや楽しみが出てくるのではないかなと思います。若ノ勝や大辻は突き押しで、夢道鵬も突き押しあるいは四つ身もある。うちの琴栄峰はバリバリの四つ相撲で、いろんなタイプがいて、これが本場所で戦うわけですから、『負けないように』といい稽古ができればいいです。この子たちがまた幕内、幕内上位に上がってくると、本当に楽しみが増えてくると思います。やっぱり稽古は嘘をつかないです」と、若手力士たちのさらなる飛躍を願った。(大西 健太)