■先発・渡辺向輝が127球完投も…6盗塁許し早大に敗戦「細かい注意が欠けていた」 連盟発足100周年の東京六大学野球は12日、春季リーグが開幕。開会式直後の第1試合では、6校中唯一優勝したことのない東大が早大を相手に接戦を演じたが、後半に突…
■先発・渡辺向輝が127球完投も…6盗塁許し早大に敗戦「細かい注意が欠けていた」
連盟発足100周年の東京六大学野球は12日、春季リーグが開幕。開会式直後の第1試合では、6校中唯一優勝したことのない東大が早大を相手に接戦を演じたが、後半に突き放され1-4で敗れた。大久保裕監督は「次の100年間には、もう少しいい成績を残せるように頑張りたい」と思いを新たにした。
東大はこの日、昨年春秋連覇を達成した早大と互角に渡り合った。元ロッテ投手の渡辺俊介氏(社会人野球・日本製鉄かずさマジック監督)を父に持つ渡辺向輝投手(4年)が先発し、“粘投”。初回に1点を先制されたが、2回無死満塁のピンチを無失点でしのぐと、3、4回もスコアボードに「0」を並べた。すると4回の攻撃で、リーグ戦デビューを飾った秋元諒内野手(2年)が左翼ポール際に初本塁打のソロを放ち、同点に追いついた。
ただ、早大との差を見せつけられたのは、ここからだった。渡辺は5回の守備で1死から1番・尾瀬雄大外野手(4年)に中前打され、次打者・渋谷泰生内野手(4年)の初球に二盗を許す。直後、渋谷に勝ち越し適時打を浴びた。さらに次打者の初球にも、渋谷に二盗され、ピンチが拡大。味方の二塁手が後方へのフライを落球(記録は中前適時打)する間に、もう1点献上した。
続く6回にも1死から、内野安打で出塁した石郷岡大成内野手(4年)に二盗、三盗を許した上、中犠飛で貴重な追加点を奪われた。渡辺は8安打で4点を失いながら、127球完投。味方の拙守に足を引っ張られた面もあるが、1試合で6盗塁も許したのはいただけない。「相手に研究されていたというより、自分が杉浦(海大捕手=4年)に任せきりで、完璧なスタートを切られていました。自分が注意を払えなかったことが原因。細かい注意が欠けていたと思います」と反省を口にした。

一方、相手の早大・小宮山悟監督は「(6盗塁のうち)ベンチからサインを出して走らせたのは1つだけ」と明かす。その他は、選手個々の観察、判断でチャンスを広げていったことになる。打線爆発といかず苦しい展開となっても、着実に白星を拾っていける秘訣はこの辺にありそうだ。
100周年の初戦を白星で飾れなかった大久保監督は、「東大は100年間で1回も優勝していないという、ふがいない歴史があります(早大48回、法大46回、明大43回、慶大40回、立大13回)。しかし、強い東京六大学から絶対に脱退しないという思いで先輩たちが日々鍛錬してきて、きょうという日がある。伝統を引き継ぎつつ、次の100年にはもう少しいい成績を残せるように頑張りたいと思います」と力を込めた。
大久保監督自身、東大の主将を務めていた1981年春季リーグでは優勝争いに絡み「赤門旋風」と呼ばれ、最終的に4位となった経験がある。近年もウエートトレーニングの効果などで、この日の秋元のように本塁打を放つ選手が増えてきた。直近の昨秋リーグ戦でも、法大と慶大から1勝ずつ挙げている。
大久保監督はこの日の試合を「4失点はこちらの想定した通りですし、なかなか点を取れない(早大先発の)伊藤樹投手(4年)から1点取れた。(100周年の初戦として)そんなに悪いスタートではないので、この調子でいきたい」と前向きに振り返った。
渡辺は「今年の目標は、勝ち点を挙げること。自分がきょうのような投球をしていたら無理なので、今後は第1戦を自分で絶対に勝つつもりでやっていきたい。9回を2失点以内に抑えることを心掛けたい」と表情を引き締める。この日の戦いぶりを見る限り、2017年秋に法大に連勝して以来8年ぶりとなる2戦先勝方式による勝ち点獲得には、十分現実味がありそうだ。