■前日の立大1回戦にサヨナラ負け「余裕を持ち過ぎた動きではあった」 東京六大学野球春季リーグは20日、法大が立大2回戦で3-12の大敗を喫し、試練の今季連敗スタートとなった。“元プロ”で就任2年目の大島公一監督はあえて、主将で4番の松下歩叶…

■前日の立大1回戦にサヨナラ負け「余裕を持ち過ぎた動きではあった」

 東京六大学野球春季リーグは20日、法大が立大2回戦で3-12の大敗を喫し、試練の今季連敗スタートとなった。“元プロ”で就任2年目の大島公一監督はあえて、主将で4番の松下歩叶内野手(4年)をスタメンから外して臨んだが……。

 法大のスタメンを見た誰もが、自分の目を疑った。主将で4番、プロ注目のスラッガーでもある松下が定位置の「4番・三塁」から外れ、そこにリーグ戦未出場の小川大地内野手(2年)の名前があったからだ。「コンディションもありますし、昨日の最後のプレーに対して、今後の松下の成長とチームへの影響を考慮し、先発から外しました。ただ、いい場面で(起用したい)と最初から思っていました」とは、試合後の大島監督の弁である。

 法大は前日(19日)の立大1回戦で、サヨナラ負けを喫していた。1-1の同点で迎えた9回の守りで2死満塁のピンチを招き、立大の代打・野村陸翔外野手(4年)が放ったゴロは三塁手の松下の正面へ。しかし、出場機会の少ない野村の足の速さは、法大ナインの頭に入っていなかったようだ。

 余裕を持った松下の一塁への送球よりも、ヘッドスライディングした野村の手が一塁ベースに届く方が速かった。三塁走者は悠々ホームを駆け抜け、ここで勝敗が決したのだった。大島監督は「野村くんの執念にやられました」とした上で、松下のプレーにも「少し余裕を持ち過ぎた動きではあったと思います」と苦言を呈した。

 一夜明けたこの日も、法大は序盤から劣勢。2回には立大に一挙5点を先行される。0-5のまま迎えた4回、無死満塁の絶好機に打順が4番の小川大に回ると、大島監督は満を持して松下を代打に送った。

 前日の試合でわずかな隙を見せた松下にお灸を据え、大黒柱の松下をスタメンから外すことでチーム全体に奮起を促した。ここで松下が打てばベンチのムードは一気に盛り上がったはずだが、そこまで思惑通りには進まなかった。松下はカウント2-2から、立大先発の左腕・田中優飛投手(2年)のフォークに空振り三振。続く5番・今泉秀悟捕手(2年)、6番・川崎広翔捕手(3年)も連続三振に倒れ、結局この回には1点も返せなかった。

3打席目で内野安打を放った法大•松下歩叶【写真:加治屋友輝】

■試合後に目を潤ませた松下「4年生が頑張らないといけない」

 松下はそのまま三塁の守備に就き、8回の打席では一塁手の前へ高いバウンドのゴロを放ち、一塁へのヘッドスライディングで内野安打をもぎ取った。しかし試合後の会見では「代打のところで1本出せなかったことが、悔しい限りです」と反省。「下級生がチャンスをつくって回してくれて、大島監督も期待を込めて送り出してくれたと思うのですが、打ちたい気持ちが先走ってしまって、自分のスイングができなかった……悔しいです」と目を潤ませていた。

 法大は昨秋リーグ戦3位のメンバーから、篠木健太郎投手(DeNA)、吉鶴翔瑛投手(東芝)、山城航太郎投手(日本ハム)ら、当時4年生の主力がごっそり抜けた。チームを根本的に立て直さなければならない状況にあるのは確かだ。この日のスタメンは3年生2人、2年生5人、1年生2人で、最上級生の4年生は1人もいなかった。松下は「4年生がもっと頑張らないといけないと思います」と力を込める。

 大学野球において強いチームは常に、経験豊富な4年生と勢いのある下級生のバランスが取れているといわれる。早大の48回に次ぐ、通算46回の優勝回数を誇る法大は、いかにして輝きを取り戻すだろうか。