石垣はセンバツ史上最速の155キロをマークした(C)産経新聞社 強烈な存在感を示したセンバツ甲子園になりました。 健大高崎(群馬)のエースで、最速158キロを誇る剛腕・石垣元気投手(3年)です。今秋ドラフト1位候補にも挙がる右腕は、大会前の…

石垣はセンバツ史上最速の155キロをマークした(C)産経新聞社

 強烈な存在感を示したセンバツ甲子園になりました。

 健大高崎(群馬)のエースで、最速158キロを誇る剛腕・石垣元気投手(3年)です。今秋ドラフト1位候補にも挙がる右腕は、大会前の練習試合で左脇腹痛を発症。甲子園での登板が危ぶまれましたが、終わってみれば甲子園大会のスコアボード表示で史上最速タイとなる155キロを計測し、4強入りに貢献。「世代ナンバーワン投手」としての矜持を示したのです。

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 アマチュア野球に詳しいライターは言います。

「石垣投手の負傷箇所が左脇腹と聞いたとき、『今大会の登板はないのでは』と思ったのも事実です。左脇腹は投球動作において非常に重要な箇所。気温が上がらないセンバツ大会で無理をするのは将来を考えたとき、得策ではないからです。決して万全ではないにも関わらず、石垣投手はブルペンで待機し、実際にマウンドへ向かった。この闘争心、覚悟が凄い。投手として大成するために、最も大切なファイティングスピリットを兼ね備えた投手だということです」

 準々決勝の花巻東(岩手)戦での「155キロ4発」は、センバツ史上最速記録を2キロも更新する圧巻の投球。「けが人が出せるスピードではない。異次元の投球でした」と前述のライターは舌を巻きます。プロのスカウト陣は1回戦の「一回り」で甲子園を離れることも多いのですが、この日は再び甲子園を訪れ、自らの目で視察しているスカウトの姿がありました。「左脇腹に不安を抱えてこの球威なら、万全ならどんなボールを投げるのか」と語るスカウトもいたほどです。

 となると、気になるのは春から夏にかけての調整法です。前述のライターはこう予測します。

「今大会では石垣投手が万全でない中、左腕の下重賢慎投手が奮闘し、スカウトや大学関係者の間で大きく株を上げました。石垣投手は、まずはしっかり体をケアして、夏に備えるものと見られます。春に無理をする必要は全くないし、石垣を欠いても今の健大高崎を倒せる群馬の高校は思い浮かばない。5月17日に茨城で行われる春季関東大会で復帰できれば御の字だと思います」

 最後の夏、万全のコンディションで甲子園に乗り込むその雄姿を、期待せずにはいられません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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