新たにレッドブルへの昇格が決まった角田。(C)Getty Images 非情な通告から時が経ち、波紋は広まり続けている。3月27日に、姉妹チームのレーシングブルズからレッドブルへの緊急昇格が決まった角田裕毅と、同時に降格が決まったリアム・ロ…
新たにレッドブルへの昇格が決まった角田。(C)Getty Images
非情な通告から時が経ち、波紋は広まり続けている。3月27日に、姉妹チームのレーシングブルズからレッドブルへの緊急昇格が決まった角田裕毅と、同時に降格が決まったリアム・ローソン。それぞれに対する人事だ。
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今季から昇格していたローソンは、関係者が「マックス(・フェルスタッペン)以外のドライバーにとっては極めて扱いづらい」とされる25年式マシンに馴染めずに開幕から成績が低迷。オーストラリアGPと中国GPの2戦で期待外れのパフォーマンスを見せたために、角田とのシート交代が決まった。
レッドブルとすれば、「彼のキャリアを救うため」(同チームのシニアアドバイザー、ヘルムート・マルコ博士談)の措置。あくまで23歳と若く、成長途上にあるローソンを慮っての人事だった。しかし、わずか2戦での降格、そして一度ふるいにかけていた角田を日本GP直前に昇格されるという電撃的な決定はハレーションを広めている。
なぜ大ナタは振るわれたのか。その内情を知るレッドブルのシニアアドバイザーであるヘルムート・マルコ博士は、オーストリアのニュース局『OE24』で「マックスが満足していないことは分かっている」と説明。異例決定に対するエースドライバーの心情に配慮した上で「ただ、ローソンは開幕から下降スパイラルに陥った。まるでボロボロのボクサーのようにね。そこから抜け出すのは非常に難しい。その点で言えば、ローソンを起用したのは間違いだった」と強調した。
また、マルコ博士は角田の昇格を開幕前に見送った理由について「あの時はユウキに一貫性がなさすぎた。だから我々は全会一致でローソンを選んだ」と明言。「しかし、高まるプレッシャーの下、ローソンはオーストラリア到着初日から期待に応えられなかった」とチーム内での評価が一変したことも語るF1界の重鎮は、こうも続けている。
「RB21の運転が難しいというのは本当だ。ただ、ここに至るまでの彼(ローソン)の活躍は十分ではなかった。チーム戦略のためにも、強力な第2ドライバーが必要だった」
今季はレーシングブルズで好調ぶりをアピールしていた角田。マルコ博士の発言を鵜呑みにする限り、彼の安定した結果が今回の人事の大きな要因になったと言えよう。
鈴鹿サーキットで開幕する日本GPまで残り1週間を切り、絶対王者フェルスタッペン以外に操作が難しいされるRB21へ適応する時間は残っていない。そうした過酷な環境で“結果”を求められる角田は、いかなる答えを出すか。24歳の日本人ドライバーは今まさに真価を問われている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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