◇メジャー初戦◇マスターズ 3日目(12日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)終盤16番(パー3)、1.2mのバーディパットを沈めたブライソン・デシャンボーは数秒間、池の向こうにひしめく群衆を見つめた。あ…

◇メジャー初戦◇マスターズ 3日目(12日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)
終盤16番(パー3)、1.2mのバーディパットを沈めたブライソン・デシャンボーは数秒間、池の向こうにひしめく群衆を見つめた。あえて無表情だったのは「パトロンを盛り上げたかったんだ。一緒に楽しむと僕は集中できるからね」という狙いから。千両役者のパフォーマンスでオーガスタのボルテージは最高潮に達した。
これだけでは終わらない。最終18番、グリーン左サイドのカラーからの3打目。パターを手に大きなスライスラインを読み切って13mを流し込む。大歓声の真ん中で「体に電気が走ったような感覚。陶酔した気分」を味わうと、すぐに「まだ土曜日だ。落ち着こう。これが終わりじゃない」と自らに言い聞かせた。

6バーディ、3ボギーの「69」で通算10アンダー。単独2位をキープし、最終日に追うべき相手はこの日のジャスティン・ローズ(イングランド)から、キャリアグランドスラムがかかるロリー・マキロイ(北アイルランド)に代わった。昨年2勝目をあげた「全米オープン」で最後に負かした相手。あすは同じ最終組で2打差を追う。
デシャンボーにとってもマスターズは是が非でも取りたいタイトル。2016年にローアマチュア(21位)に輝きながら、2022年からは2年続けて予選落ち。昨年の6位が初のトップ10入りだった。「メジャーでは最終ラウンドで良い位置にいることが重要。ロリーとぶつかり合うことは、素晴らしいマッチアップになると分かっていたからうれしかった。もちろん素晴らしい選手は他にもいる。きっと楽しい試練になるはずだ」

LIVゴルフに移籍してからは自身のYouTube動画で、ホールインワンを目指したり、ドナルド・トランプ大統領ら著名人とのペアで「50切り」を目指したりと様々なお題に挑戦。一見、“お遊び”のようで「撮影中は自分がどう反応して、どうコントロールして落ち着くべきかを理解するのに役立っている」と本業にも良い効果をもたらしているという。
マキロイは今週、一貫して雑音をシャットアウト。運命の一日に向けて「これから16時間はスマートフォンを見ない」とした一方で、デシャンボーは「暗くなる前に練習をして、(いつものように)食事も摂るし、携帯電話も見る。そんなに問題ではないよ。ケアをして、できるだけリラックスできるように映画でも観ようと思う」と自然体だ。「久しぶりの、最高のステージになるだろう」。ワクワクが止まらない。