2020年東京五輪で開催される、馬術。 総合馬術種目のひとつとなっている「障害馬術」のテストイベントが14日、馬事公苑で開催された。 総合馬術は「馬場」「障害」「クロスカントリー走行」の3種目で行われる。馬場はステップなどの演技と美しさを…

2020年東京五輪で開催される、馬術。
総合馬術種目のひとつとなっている「障害馬術」のテストイベントが14日、馬事公苑で開催された。

総合馬術は「馬場」「障害」「クロスカントリー走行」の3種目で行われる。馬場はステップなどの演技と美しさを採点するもの、障害はコース上に設置された障害物を飛び越えていき、ミスの少なさと走行時間で競うもの、クロスカントリーは竹柵、水豪など40もの障害物が設置された約6キロのコースを10分程で駆け抜け争っていく。

この3種目を同じ人馬で行い合計減点の少なさを競うのが「総合馬術」。馬場、クロスカントリー、障害の順に3日間かけて行われるため体力や精神力だけでなく馬のコンディションを良い状態に保つこともポイントとなる。

14日に行われたテストイベントの障害馬術はイギリス、ドイツ、オーストラリアから16人馬が参加し、日本からは10人馬が出場した。
総合の日本人最高順位は2016年リオデジャネイロ五輪に出場した北島隆三(33)が2位、2008年北京五輪から3大会連続で出場している大岩義明(43)は3位入賞となった。

(左から)大岩義明、JUNGMichael、北島隆三

今回東京五輪・パラリンピック組織委員会が掲げたテスト項目の中でも選手達が1番懸念をしていたのが「暑さ」だ。これまで様々な競技で行われたテストイベントの中でも暑さ対策は項目に入っていたが、馬術に関しては選手や観客だけでなく「馬」のコンディションをどう整えていくのかが競技結果に大きく影響してくる。

東京五輪での会場は2ヶ所、海の森クロスカントリーコースと馬事公苑で行われる。今回2ヶ所共に厩舎には冷房を完備、クーリングテントも数箇所設け常時ミストファンを回すなど対策を行ってテストイベントは開催された。

しかしヨーロッパを拠点にしている馬にとって日本の暑さや湿度に慣れることは容易ではなく、競技中に体力や集中力の面で馬の反応が低下していると選手から懸念の声も挙がっていた。

特にクロスカントリーは、五輪本番の競技時間は朝8時半〜のスタートに設定されているが、65組参加となると順番が後になる馬は暑さが厳しくなる時間に走行しなければいけなくなる。必然的に馬に影響が出てしまうので競技時間の開始を前倒ししてほしいという要望が選手から相次いでいた。

人馬一体が求められる馬術

国際馬術連盟のヨーラン・アケストロム氏は「開始時間を早めることが必ずしも公平になるとは限らない。早朝に開始すると、日の角度が変わり日蔭の位置も変わってきて馬に影響を与えることが考えられる。これから様々な懸念事項を選手から聞き取りをし、組織委員会と協議を重ねていきたい」と総括した。

2020年東京五輪での馬術競技をハイレベルな戦いとして世界から認知してもらうためにもどういった環境で競うのがベストなのか、大会本番まで様々な角度から議論する必要がありそうだ。

東京五輪の総合馬術競技は、2020年7月31日から8月2日まで「馬事公苑」と「海の森クロスカントリーコース」を舞台に行われる。

五輪も同じ会場で行われる