プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が13日、横浜市の所属ジムで練習を公開した。27日、…

プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が13日、横浜市の所属ジムで練習を公開した。27日、サウジアラビア・リヤドでWBC世界同級2位アラン・ピカソ(25=メキシコ)との防衛戦を控える。ピカソ対策として同じオーソドックス(右構え)のWBC世界バンタム級王者の弟拓真(29=大橋)との軽めのスパーリングに取り組み、兄弟世界王者同士の豪華な実戦練習を披露した。

11月24日、弟拓真が那須川天心(27=帝拳)との同級王座決定戦で判定勝利して王座返り咲きに成功。弟の勇姿を陣営の1人として見届けていた。井上は「すごく刺激を受けましたね。自分の練習もしっかりとやりながら、拓真のトレーニングにも付き合いながらやってきた。正直、拓真が勝った瞬間、抜け殻になるのかなという気持ちもあったが、逆に刺激を受けた。次の日の練習がすごく調子が良くて、気合をもらいました」と言葉に力を込めた。

拓真が18年12月に初めて世界王座(WBCバンタム級暫定王座)を獲得して以降、兄弟による軽めのスパーリングを公開練習で披露したのは初めてだった。所属ジムの大橋秀行会長(60)によると軽めスパーリング公開は兄弟で決めたことだという。大橋会長は「拓真-天心戦後、井上の違いは感じた。周りのスタッフからも『勢いが違う』と。スパーリング内容にも出ていた」と“拓真効果”を強調した。

米英で海外マッチ5試合を経験してきたが、サウジアラビアでの試合は初めてとなる。井上は「精神的にも肉体的にも仕上がっている。サウジアラビアの最終調整が楽しみ。初めてのところで、新鮮な気持ちで臨める」と高揚感も口にした。拓真も同じタイミングでサウジアラビアに入り、ピカソ対策のパートナーを務める予定だ。

ピカソは32勝(17KO)の無敗挑戦者となるものの、世界初挑戦となる相手だけに下馬評は井上優位となっている。サウジアラビアはボクシングの新たな中心地として注目されており、海外ではDAZNで生中継される。世界中から2戦ぶりのKO決着を求められていることも分かっている。井上は「毎回、KOは頭に入れて試合している。前回の試合はそれを外してしっかりと判定でという考えで挑んだのは、数年では珍しかった。今回はしっかりとKOを狙い、実行したい」とキッパリと言い切っていた。