「ヤクルト1-5阪神」(15日、坊っちゃんスタジアム) 坊っちゃんスタジアムで、7年ぶりに勝利の六甲おろしが響き渡る。快勝を導いたのは、才木浩人投手(26)だった。六回2死まで無安打に封じるなど、7回2安打無失点の好投で虎党を沸かせた。ロ…
「ヤクルト1-5阪神」(15日、坊っちゃんスタジアム)
坊っちゃんスタジアムで、7年ぶりに勝利の六甲おろしが響き渡る。快勝を導いたのは、才木浩人投手(26)だった。六回2死まで無安打に封じるなど、7回2安打無失点の好投で虎党を沸かせた。ローテの軸に今季初星が輝き、チームは再び貯金生活に突入。松山での勝利を追い風に、さらに勝利を積み重ねていく。
勝利の瞬間、ホッとしたように笑った。才木が今季3戦目で初白星。寒空の下、ようやくつかんだ1勝に「うれしいです。今日は3戦目にしてやっとゼロで終われたのがよかった」と充実感を漂わせた。
この日の松山は、試合開始時点で気温12度。風速は常時7~8メートルと冷たい風が吹き続けた。加えて慣れないマウンドでの登板だったが「どんどん攻めていければと思っていた。(感覚の)修正もすぐにできたしよかった」と、すぐに環境にアジャスト。五回まで無安打と寄せ付けなかった。
六回、2死から西川に初ヒットを許した場面は「打たれてHのところに1ってついて、ノーヒットノーランミスったと思いましたね」と笑顔で振り返った右腕。七回は初めて得点圏に走者を背負ったが「厳しくというより、しっかり攻めてという気持ちでいけた」とゼロで切り抜けた。結果7回2安打無失点。1週間前には惜しくも敗れたツバメ打線を、完全に封じ込めた。
悔しい登板が続いていた。自身は開幕から力投するも連敗スタート。今季初登板だった1日のDeNA戦(京セラ)では六回途中でKO。ベンチでタオルを覆い、しばらく動けない時間もあった。それでも試合後には中野、木浪らから「気にするな」と声をかけられた。「別に背負い込んでいるわけではないけど、気は楽になりました」。一緒に戦う先輩の声に救われた。
昨季はチームトップの13勝を挙げ、さらなる飛躍が期待された今季。オフに大きな出会いがあった。1月に沖縄で行った自主トレ中。現在もサッカー日本代表で、4大会連続W杯にも出場しているFC東京・長友佑都と話す機会があった。
トレーニングや食事面の話を中心にした中で「やり過ぎはよくないから、自分に合うものをやりな」とアドバイスを受けたという。競技は違えど、同じトップアスリート。これまで他競技の選手とほとんど交流はなかったという才木にとって「いい縁をもらった。すごく参考にしたい」と有意義な時間となった。
もどかしい期間を乗り越え、大きな1勝をつかんだ才木。松山の虎党に勝利を届け、ここからエンジン全開。勝ち星を積み上げ、チームを引っ張っていく。
◆阪神、松山で7年ぶり勝利 阪神は2018年4月25日のヤクルト戦に4-2で勝利して以来、7年ぶりの松山での勝利。これで2003年以降、松山では8試合で6勝2敗となった。