西武の浜屋は今季から育成選手として再出発 3桁の背番号で再出発する。6年目を迎えた西武・浜屋将太投手は今季から育成選手として支配下登録を目指している。鹿児島・樟南高から社会人の三菱日立パワーシステムズ(現・三菱重工East)を経て2019年…
西武の浜屋は今季から育成選手として再出発
3桁の背番号で再出発する。6年目を迎えた西武・浜屋将太投手は今季から育成選手として支配下登録を目指している。鹿児島・樟南高から社会人の三菱日立パワーシステムズ(現・三菱重工East)を経て2019年ドラフト2位で入団。1年目の2020年は12試合に登板し3勝を挙げたが、その後は伸び悩み2022年、2023年は1軍登板無しで昨季は1登板のみ。育成再契約は、悩んだ末の決断だった。
昨季は3年ぶりに1軍登板を果たしたが、中継ぎとして2回1/3を投げ4失点。出場選手登録を抹消された後、再び1軍に昇格することはなく、オフに戦力外通告を受けた。久々の1軍でのマウンドは「やってやろう」という気持ちが空回りしてしまい、自分の投球ができなかった。
「すごく緊張しましたし、気持ちが先走ってしまったと思います。2軍では先発をやっていて中継ぎに慣れていなかった。上手く対応できない自分が悪いんですけど、肩を多めに作ったり、準備も難しかったです」
気持ちが入りすぎると力みにつながってしまい、逆に体が疲れているときは、気持ちが入らない。悪いところはわかっていた。改善するためにメンタルトレーニングも取り入れていたが、試合になるとうまくいかない。好結果を出さなければ、生き残ることができない厳しい世界。戦力外通告は「来るかもな」と覚悟していたが、実際に受けると「やっぱりか」と落ち込んだ。育成契約の打診は本当にありがたいことだったが、すぐに決断することができなかった。
野球以外の企業から打診も「うちで働かないか」
「『これからどうしようかな』と考える時間が長くて、返事を待ってもらいました。戦力外になって気持ちが落ちていることもあったんですけど、野球を辞めて新しい仕事に就くことになったとき、1から色々覚えなければいけない。仕事を始める年齢を先延ばしにすると、覚えることが大変になるんじゃないかと考えました」
野球に関わりのない企業も含め、いくつかの会社から「うちで働かないか」と声がかかっていた。だが、プロは誰でも入れる世界ではないし、プロで戦っていける選手をずっと目指してきた。「『やるだけやったけど、自分は通用しなかった』と納得して終わりたい。『やりきった』と思えるまでやりたい」。そう考え、育成契約を選択した。
左腕を見れば、昨季9勝を挙げた隅田知一郎投手や、10勝を挙げ新人王を獲得した武内夏暉投手らが揃う。そんな中、自身の生きる道は「左対左のワンポイント」だと考えている。
「左のワンポイントは多くないので、そこを目指していきたいと思っています。右打者にはスライダーで三振を取れているんですけど、左打者の時はちょっと早く曲がってしまって空振りがあまり取れていなかった。これから磨きをかけていきたいと思っています」
昨オフに行われた同期会では、2022年の現役ドラフトで日本ハムに移籍した松岡洸希投手も参加した。自身と同じく、戦力外通告を受け育成選手として再契約。開幕前に支配下を勝ち取った。「調子が良くてもなかなか登板機会がなくて苦労していた時もありました。そんな中、支配下に復帰して1軍で投げている。刺激になりますね」。プロ野球人生に悔いが残らないように、全力を尽くし1軍のマウンドを目指す。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)