◇メジャー初戦◇マスターズ 最終日(13日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)熱狂のオーガスタ18番で感極まる戦友をねぎらうのは、これで2度目だ。悔しさをこらえ、ジャスティン・ローズ(イングランド)はロリ…

◇メジャー初戦◇マスターズ 最終日(13日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)
熱狂のオーガスタ18番で感極まる戦友をねぎらうのは、これで2度目だ。悔しさをこらえ、ジャスティン・ローズ(イングランド)はロリー・マキロイ(北アイルランド)に心から祝福の言葉をかけた。「このグリーンで、君がキャリアグランドスラムを成し遂げる姿を見られて良かった。ゴルフというゲームにおいて、こんなにクールな瞬間はないよ」。気高く、そして潔く。2017年、セルヒオ・ガルシア(スペイン)に敗れた時もそうだった。
7打差6位から出たこの日のプレーは圧巻。予選ラウンドの首位ターンから、3日目の「75」で一気に後退したうっ憤を晴らすかのようなバーディラッシュを見せた。

2つ伸ばして入ったサンデーバックナインでパーは10番だけ。11番から始まる3ホールの“アーメンコーナー”で3連続バーディ。13番(パー5)は大きく左を向き、スライスラインを読み切った8mがカップをなめるように外れてイーグルを逃し、思わずグリーンに突っ伏した。直後の14番でボギー。それでも止まらない。すぐに2連続バーディを奪った。
ボギーとした17番、パトロンの雰囲気から自分が優勝争いに加わっていることを悟った。18番で初めてリーダーボードを確認。「よし、ここでバーディを獲る」と自らを奮い立たせた。4組うしろを回るマキロイがパー5の15番を残しており、リードして終わっておく必要があったからだ。右上から力強くねじ込んだ6mは会心。「子どもの頃に夢見たようなパットが入って、特別な気分だった」とうなずく。

マキロイのボギーフィニッシュで突入したプレーオフの18番では、4.5mのチャンスを先に作りながら決めきれなかった。20度目のマスターズで3度目の2位。2度のプレーオフ敗退はベン・ホーガンと並んで大会最多タイ。メジャーでは昨年「全英オープン」に続く2位フィニッシュでもある。

「ロリーはカリスマ性を持った素晴らしい選手だ。最も重要な場面(プレーオフ)で素晴らしいスイングを2度も見せてくれた」。勝者のショットをたたえた上で、44歳はこの惜敗を糧にすることを誓う。「痛みなくして飛躍はできない。キャリアを重ね、経験によって物事が簡単になるという考え方もあるけど、違うんだ。これまで以上に規律正しく、犠牲を払わなければならない。僕は、その努力を惜しまないよ」。最後までプロフェッショナルの矜持を貫いた。