◆陸上◇中部選手権大会 第2日(13日・草薙総合運動陸上競技場) 男子円盤投げで中村一裕(34)=駿河AC=が52メートル63をマークし、昨年自身が樹立した47メートル90の大会記録を更新して9年連続14回目の優勝。2014年に出した48メ…

◆陸上◇中部選手権大会 第2日(13日・草薙総合運動陸上競技場)

 男子円盤投げで中村一裕(34)=駿河AC=が52メートル63をマークし、昨年自身が樹立した47メートル90の大会記録を更新して9年連続14回目の優勝。2014年に出した48メートル88の自己記録を11年ぶりに塗り替え、日本選手権(7月4~6日・国立)の参加標準記録(50メートル30)もクリアした。

 降りしきる雨のなか、中村が大会新を連発した。2投目に50メートル30を投げ、1年前に自身が出した47メートル90を大幅に更新すると、最終6投目には52メートル63と記録を伸ばした。「今まで上半身に頼って投げていたけど、うまく下半身を使えた」。初めて50メートルの大台を突破した。

 しらす工場のヤマショウ水産で働きながら母校・榛原高で外部指導にあたる。自らも現役選手として高校生たちとトレーニングを積んでいる。仕事で学校に行けない時には、砂浜に向かって円盤を投げているという。「犬の散歩が通過するのを待って投げています」と笑う。

 自己記録をマークした14年の冬、生死をさまよう重傷を負った。ボブスレーの強化指定選手として活動していたがオーストリアでの合宿中に転倒。頚椎を骨折し、車イスで帰国した。「今でも左腕には後遺症がある」。それでも地道に円盤を投げ続け、11年ぶりに自己記録を塗り替えた。

 日本のトップ選手が集まる日本選手権の出場切符を初めて手に入れた。「みんなが目標にする大会。すごく励みになる」。この日の52メートル63は昨年の7位に相当する記録。「なんとか入賞を目指したい」。大けがを乗り越え10月には35歳を迎える男は、まだまだ成長の途上だ。(塩沢 武士)

 ◆中村 一裕(なかむら・かずひろ)1990年10月13日、吉田町生まれ。34歳。吉田中から榛原高を経て中大に進学。高3では全国高校総体に出場した。13~19年までは強化指定選手に選ばれたボブスレーとの二刀流。家族は夫人。186センチ、116キロ。

 〇…男子100メートルは昨年の国スポ男子共通400メートルリレーに県代表として出場した伴野智星(静岡市立高2年)が、雨中の決戦を制した。34組あった予選を突破し、5組で争ったタイムトライアル決勝。追い風2・2メートルの中、10秒73で社会人、大学生を抑えてV。「100は今季初だったので、初戦にしてはまずまずだった」と及第点をつけた。25日からは全国総体に向けた戦いが始まる。「予選、準決、決勝とタイムを上げられるようにしたい」と本番を見据えた。