<国内女子ゴルフツアー:富士フイルム・スタジオアリス女子>◇最終日◇13日◇埼玉・石坂GC(6585ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝1800万円)首位と2打差の3位から出た中村心(19=ヤマエグループHD)は、ルーキー一番乗りでの初…
<国内女子ゴルフツアー:富士フイルム・スタジオアリス女子>◇最終日◇13日◇埼玉・石坂GC(6585ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝1800万円)
首位と2打差の3位から出た中村心(19=ヤマエグループHD)は、ルーキー一番乗りでの初優勝を目前で逃し、悔し涙を流した。正規の18ホールを4バーディー、2ボギーの70と2つ伸ばし、通算9アンダー、207。一時は2位に2打差の首位に立ったが、最終18番パー4をボギーとし、プレーオフにもつれた。プレーオフは優勝した安田祐香、河本結と3人で争ったが、1ホール目をボギーとして最初に脱落。出場権を得た次戦の雪辱を誓った。
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初優勝は目前だった。正規の18番。中村は1・5メートルのパーパットを決めれば、結果的に優勝していた。だが決められなかった。カップに蹴られ、こぼれたボギーパットをタップインで沈めると苦笑した。“18番の悲劇”は、さらに続いた。プレーオフ1ホール目。ウエッジでチップインバーディーを狙った第3打は、ピンを1メートル足らずオーバーした。返しのパーパットは、再び決められなかった。このホールをパーとした安田と河本に後れを取り、優勝争いから脱落が決まった。
すでに涙目でクラブハウスに戻ると、同学年でプロテスト合格の同期、さらに同じ中嶋常幸に師事する入谷が、同じく涙目で待っていた。入谷に「つらいね」と声を掛けられると、大粒の涙が止まらなくなった。「悔しいです」と、声を絞り出した。リーダーボードは見ず、18番のパーパットを打つ際にキャディーから「外してもプレーオフだから」と言われ、初めて自分が単独首位と知った。直後に「思った以上に緊張して、よく分からなくなった」と冷静さを失っていた。
ただ「キャディーさんがいてくれて心強かった」と感謝しきりだった。あくまで自身の経験、技術不足と言い訳しなかった。QTランキング74位で、本来は次戦の出場権はなかったが、トップ3入りしたことで自力で出場権獲得。「この悔しさを笑顔に変えたい」。新人最上位でルーキー賞100万円を獲得し「おいしいご飯を食べます」と前を向いていた。【高田文太】