プロボクシングWBO世界ウエルター級2位の佐々木尽(23=八王子中屋)が、日本ボクシング界に新たな歴史をつくる。25日、横浜市内で同級王者ブライアン・ノーマンJr.(24=米国)への初挑戦(6月19日、東京・大田区総合体育館)が発表された。…
プロボクシングWBO世界ウエルター級2位の佐々木尽(23=八王子中屋)が、日本ボクシング界に新たな歴史をつくる。25日、横浜市内で同級王者ブライアン・ノーマンJr.(24=米国)への初挑戦(6月19日、東京・大田区総合体育館)が発表された。過去にウエルター級で日本人世界王者は誕生しておらず、国内での世界戦も36年ぶり。“激戦階級”の高い壁に、KO率80%の豪腕ファイターが初回から勝負を仕掛ける。
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「夢みたい。人生で2番目に幸せ。1番目は母のおなかから生まれてきたこと。そして今、なぜ生まれてきたのかが分かった。この試合に勝って歴史を変えるため」。日本人未踏のベルトへの挑戦決定に、佐々木は湧き上がる熱情を、照れることなく言葉にした。
ミニマム級からミドル級までの13階級で102人の日本人世界王者が誕生しているが、66・6キロ以下のウエルター級は4人が挑戦して全敗。欧米男性の平均体格とされる高いレベルの階級で、日本人の挑戦機会自体が少なかった。佐々木の挑戦は日本ボクシング界の夢でもあった。
無敗王者の壁も高い。3月30日に米ラスベガスで自ら挑戦状を手渡した佐々木も「スピード、パワー、技術すべてそろっていて、弱点がない」と実力を認める。それでも「パワーでは負けていない」とKO率80%の強打への自信は揺るぎない。「宇宙人対宇宙人の戦いになる」と、想像を超える激闘を予想した。
今月24日までラスベガスに残り、世界レベルの猛者たちとジムで拳を交えた。「海外の選手は打ったら動く。その動きを読んで戦うことが大事。そこに気づいた」。ノーマンとの試合は夢で何度も夢で見たという。「2回までで(夢は)終わった。自分が先にダウンを奪われて、ダウンを奪い返した」。それは望む展開でもある。「自分は攻撃が最大の防御。1回から人生のすべてかけて勝ちにいく」。魂のすべてを拳に注ぎ込んで高い壁をたたき壊す。【首藤正徳】
◆ウエルター級メモ リミット66・6キロで世界的スター選手が多く存在。シュガー・レイ・レナードとトーマス・ハーンズという元5階級制覇王者をはじめ、元6階級制覇王者オスカー・デラホーヤ(全て米国)元3階級制覇王者フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)フロイド・メイウェザー(米国)やマニー・パッキャオ(フィリピン)といった人気を兼ね備えた名選手がずらり。ビッグマッチが多い階級で、ウエート的に世界の選手層自体が厚く、日本人の世界ランク上位が難しい激戦区だ。