◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 最終日(13日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7069yd(パー71)朝6時から浜辺を走って走って、あまりの辛さに涙が出た。「ただガムシャラにやるのがもったいない」というのが生源寺龍憲のモ…

仲間からウォーターシャワーを浴びる生源寺龍憲(C)JGTOimages

◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 最終日(13日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7069yd(パー71)

朝6時から浜辺を走って走って、あまりの辛さに涙が出た。「ただガムシャラにやるのがもったいない」というのが生源寺龍憲のモットーでも、このガムシャラは無駄じゃなかった。

2023年に下部ツアー賞金王に輝き、レギュラーツアーに昇格した昨年は賞金ランク29位に入った。初めてシード選手として迎えた今年は開幕戦で優勝。順調に見える道のりは、持ち前の根性と分析力の結晶だ。

「生源寺選手は研究熱心で、無駄なことがイヤなデータ派」と話すのは、プロ転向2年目の2022年から本格的にタッグを組む今林伸司トレーナー。同年は下部ツアーで成績を残せず、賞金ランキング上位選手のスタッツをすべて分析して、何が足りないかを洗い出した。目標は15ydの飛距離アップ。「正しい体の使い方を知っている選手なので、まずしっかり筋肉をつければできると思っていました」と言う今林トレーナーは、筋肉痛になっても体を追い込む時期と決めて「それこそ、死にそうなトレーニング」のメニューを組んだ。

朝6時から11時まで、浜辺で走り込みとトレーニング。その後は夕方5時までコースを回り、ラウンド後も2時間のウェイトトレーニング…。生源寺は「泣きながら浜辺を走ってました。もう体がギリギリで、朝目が覚めたら起き上がれないんです…」と笑って振り返る。極限のメニューをこなし、オフの3カ月で目標を達成した。

アジアンツアーにも参戦した昨年は、新たな壁にぶち当たった。試合前にジムでアップをしていると、横でホアキン・ニーマン(チリ)が片手で30kgのおもりを軽々持ち上げていた。今年の「マスターズ」に出場したトッププロとはいえ「もう、衝撃でした。そりゃー飛ぶよなって」。日本で戦えるまでになったパワーも、海外では通用しない。同ツアーで18試合に出場したがトップ10は1度だけ。「飛距離でおいて行かれることもたくさんある」と今はまた、新たなプランを練っている。

「PGAツアーに挑戦したい」。来季の米ツアー出場権を求めて、今年は予選会(Qスクール)に挑戦する。そのためにも「あと5ydくらい」の飛距離アップを目指しているが、もうムチャなトレーニングはしない。「もっと飛距離もほしいけど、バランスが崩れるとゲームが台無しになる。頭を使いながら差を埋めるしかない」と言い、持ち味はショットの精度という軸をブラさず、今年のオフも取り組んできた。「この優勝で、進んでいる方向が正しいと思えた」。早々に結果が出た2025年は新たな目標に向かっていく。(三重県桑名市/谷口愛純)