プロボクシング元日本、東洋太平洋スーパーバンタム級王者・葛西裕一さん(55)が、プロの世界に8年ぶりに復帰して再びチャンピオン育成を目指すことが11日、分かった。現役引退後は帝拳ジムのトレーナーとして4人の世界王者を育て上げ2017年に独…

 プロボクシング元日本、東洋太平洋スーパーバンタム級王者・葛西裕一さん(55)が、プロの世界に8年ぶりに復帰して再びチャンピオン育成を目指すことが11日、分かった。現役引退後は帝拳ジムのトレーナーとして4人の世界王者を育て上げ2017年に独立。東京・世田谷区用賀にアマチュア専門のボクシング・フィットネスジム「GLOVES」をオープンし、プロの世界を離れていたが「もうひと花咲かせたい」とジムのプロ加盟を決断した。

 自ら手がけた選手をリングで勝たせたい。その強い思いが葛西さんを動かした。

「トップアマでなくてもプロのチャンピオンを目指せる。雑草でも大丈夫というジムを作りたい。まずは新人王を出します」と口調は熱い。名門・帝拳ジムから独立してボクシング・フィットネスジムをオープン。これまではプロ志望の選手には基礎を教え、他のプロ加盟ジムに紹介するという流れだったが、心の中では何か物足りなさを感じていたという。

 現役時代は後楽園ホールを満員にしたスター選手で、世界ランク1位となり3度の世界挑戦を経験。人気漫画「ろくでなしBLUES」に登場する“池袋の葛西”のモデルともいわれている。トレーナーとしては西岡利晃(WBCスーパーバンタム)、三浦隆司(WBCスーパーフェザー)、五十嵐俊幸(WBCフライ)、下田昭文(WBAスーパーバンタム)の4人を世界王者へと導いた。年齢的にも55歳になり「プロの世界の方が自分のキャリアをいかせる。もうひと花咲かせたい」とここがラストチャンスと動き出した。

 これからはトレーナーではなく、会長という立場で選手育成に励む。現在のジムにも葛西さんの指導を受けたいというプロ志望の中学、高校生が大磯、川口、市原などから用賀のジムに足を運んでいる。「選手、トレーナーとして帝拳ジムで学んだものを後輩たちに伝えていきたい。それがボクシング界への恩返しにもなる」と葛西さん。今後、申請書類を提出し22日の東日本ボクシング協会理事会でプロ加盟の承認を受けた後、会見などを行う予定でいる。

 ◆葛西裕一(かさい・ゆういち)1969年11月17日、神奈川・横浜市生まれ。横浜高でインターハイ王者となり専大に進むが、中退して89年8月に帝拳ジムからプロデビュー。日本、東洋太平洋スーパーバンタム級王座を獲得。プロ戦績は24勝(16KO)4敗1分け。帝拳ジムのトレーナーを経て2017年に「GLOVES」をオープン。アクセスは東急田園都市線「用賀駅」北口から徒歩2分。TEL03・6447―9128 受付時間11時~17時。火曜定休日。