明大は3日、東京六大学野球秋季リーグの法大1回戦に4-2で先勝。敗れれば、この日試合のなかった早大の春秋連覇が決まる“崖っぷち”だったが、V逸の危機に持ち前の粘りを発揮した。楽天からドラフト1位指名を受けた主将・宗山塁内野手(4年)の最終…

 明大は3日、東京六大学野球秋季リーグの法大1回戦に4-2で先勝。敗れれば、この日試合のなかった早大の春秋連覇が決まる“崖っぷち”だったが、V逸の危機に持ち前の粘りを発揮した。楽天からドラフト1位指名を受けた主将・宗山塁内野手(4年)の最終シーズンは、まだ終わらない。

 劣勢なのは明大の方に見えた。6回終了時点で両チーム無得点。先発の左腕・毛利海大投手(3年)は、法大のエースでDeNAドラフト2位指名の篠木健太郎投手(4年)と息詰まる投手戦を展開していたが、6回途中に左足裏の皮が剥けた影響で降板。急きょ2番手の千葉汐凱投手(4年)に代わった。

 暗雲が垂れ込めていた7回の攻撃。明大は先頭の小島大河捕手(3年)が左前打で出塁すると、送りバントで二進。ここで7番に入っていた榊原七斗外野手(2年)がカウント2-2から、篠木が内角高めに投じた144キロの速球を叩き、左翼フェンス直撃の先制適時三塁打を放った。「追い込まれていましたが、高めに浮いてきた球をしっかり叩こうと思っていました」と会心の笑み。「直井(宏路外野手=4年)さん、宗山さんをはじめ、同じ左打者の先輩が難しいコースの球もファウルにして粘り、高い出塁率につなげている姿を見て、自分も意識が変わりました」と強調した。

 続く宮田知弥内野手(3年)もすかさず、初球をとらえ右翼席へ2ラン。あっという間に3点を先行したのだった。

7回表に先制タイムリー3ベースを放った明大・榊原【写真:加治屋友輝】

 明大は2022年の春から昨春まで3季連続優勝を達成するなど、毎シーズン安定した戦いを演じている。その要因は緻密さと、榊原が指摘するしぶとさにありそうだ。

 この日も、3点先行の呼び水となった木本圭一内野手(3年)の送りバントを含め、計4犠打に上った。3-2の1点リードで迎えた9回にも、内野安打で出塁した先頭の榊原を、前の打席で2ランを打っていた宮田があえてバントで送り、2死後に直井の内野安打で貴重な追加点を挙げた。

 野球ファンの注目の的となっている宗山も、無理に打って出ることなく1打数無安打3四球。凡退した6回1死二塁の場面でも、カウント2-2から内角低めの変化球を引っ張り、一ゴロで走者を三塁へ進めている。「最悪でも走者を三塁へ置いた方が、点を取れる確率は上がります。打ち取られるとしても、その形で終わることは、頭の片隅にありました」と説明した。

 また、宗山は3日現在、リーグ3位の打率.383(47打数18安打)を誇り、三振はわずか1。規定打席以上の38人中、日本ハムから5位指名された早大・山縣秀内野手(4年)と並んで最も少ない。「投手にしてみれば、追い込んでから決めきれないのは嫌なことだと思います。粘り強さは、練習の段階から意識して取り組んでいるところです」とうなずく。

 こうした考えが浸透していることが、伝統的な明大の強み。15年連続でドラフト指名選手を輩出していることとも、無関係ではないだろう。緻密さとしぶとさは引き継がれていく。

(Full-Count 宮脇広久)