NBA後半戦見どころ@ウェスタン・カンファレンス編 オールスターが終了し、いよいよNBAは後半戦に突入した。シード争いの行方、新人王、シーズンMVPなどの有力候補は? 後半戦の注目ポイントを紹介する。コービーを追悼するレブロン・ジェームズ …

NBA後半戦見どころ@ウェスタン・カンファレンス編

 オールスターが終了し、いよいよNBAは後半戦に突入した。シード争いの行方、新人王、シーズンMVPなどの有力候補は? 後半戦の注目ポイントを紹介する。




コービーを追悼するレブロン・ジェームズ

 現在、ウェスタンの首位をひた走るのは、レブロン・ジェームズ(SF)率いるロサンゼルス・レイカーズ(41勝12敗)だ。昨年のオフに「リーグ屈指のビッグマン」アンソニー・デイビス(PF)をトレードで獲得し、優勝への地盤を強固にして臨んだ。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 だが今季は、是が非でも優勝を遂げたい理由が加わった。

 キャリア20年をレイカーズに捧げ、2016年に引退したコービー・ブライアントが1月26日(日本時間27日)、ヘリコプターの墜落事故によって帰らぬ人となった。奇しくもレブロンが通算得点でコービー(33,643得点)を抜き、NBA歴代3位となった翌日の悲劇だった。

 レブロンはSNSに、レジェンドの追悼メッセージをこう書き込んでいる。

「約束する。僕はあなたのレガシーを引き継いでいく。あなたはNBA、とくにレイカーズにとって、かけがえのない存在だった。僕はそれを背負い進み続ける。それが僕の責任だ。どうか天国から見守っていてほしい。そして、僕に力を与えてほしい。僕たちは、いつも一緒だ」

 レイカーズが最後に優勝したのは、コービーがファイナルMVPを獲得した2010年。10年ぶりの優勝を、天国のコービーに是が非でも捧げたい。

 そんなレイカーズの最大のライバルになりそうなのが、現在ウェスタン3位でレイカーズと同じステイプルズ・センターをホームアリーナにするロサンゼル・クリッパーズ(37勝18敗)だ。

 カワイ・レナード(SF)とポール・ジョージ(SG)を擁するクリッパーズは、2月6日のトレードデッドラインにマーカス・モリス(SF)を獲得。ディフェンスが得意なモリスの加入で、レブロン対策はより万全なものとなった。

 ロサンゼルス出身のジョージは、コービーについてこう語る。

「コービーはすべての子どもたちに『NBAでプレーしたい』と思わせる男だった。俺もコービーがいたから、バスケを始めた」

 レブロンと同様、ジョージも優勝をコービーに捧げたいと強く願っている選手のひとりだろう。ウェスタンの頂上決戦は、ロサンゼルス対決になる確率が濃厚だ。

 だが、上位に顔を連ねる他チームも侮れない。

 2位のデンバー・ナゲッツ(38勝17敗)は、エースのニコラ・ヨキッチ(C)が好調をキープしているのが強さの要因だ。1試合平均106.7失点と、ウェスタン最強の守備力も光っている。

 4位のユタ・ジャズ(36勝18敗)は12月末にジョーダン・クラークソン(PG)をトレードで獲得してから10連勝を記録。右肩上がりでチーム力を向上させている。

 このように、ウェスタンには元気なチームが多い。だが、ここに来て台風の目になりそうなのが、5位のヒューストン・ロケッツ(34勝20敗)だ。

 ロケッツは208cmのクリント・カペラ(C)を放出し、スリーポイントとディフェンス--いわゆる「3&D」が得意なロバート・コビントン(PF)を獲得。結果、センター専任の選手が不在となり、198cmのP・J・タッカー(PF)が相手センターにマッチアップするなど、超スモールラインナップで後半戦に臨むことになる。

 レイカーズのデイビス(208cm)、ナゲッツのヨキッチ(213cm)、ポートランド・トレイルブレイザーズのハッサン・ホワイトサイド(216cm)など、ウェスタンには優秀なビッグマンが多い。それでも、ロケッツは長所を最大限に伸ばし、短所を無視する賭けに出た。

 ロケットの得点源は、ジェームズ・ハーデン(SG)とラッセル・ウェストブルック(PG)。ふたりの個性を引き出すには、センターを置かず、インサイドに広いスペースを空けておいたほうがいいと判断したのだ。

「(超スモールラインナップは)チームの力をどうすれば最大限に引き出せるか、それを考えた結果だ。外野の声を気にする必要はない」

 名将マイク・ダントーニは強気な姿勢を崩さない。

 ちなみにオールスター終了時点で、ハーデンは1試合平均35.3得点を記録している。1961-62シーズンにウィルト・チェンバレンが平均50.4得点という大記録を残しているが、チェンバレン以外でシーズン平均35得点以上を記録して得点王に輝いたのは、1966-67シーズンのリック・バリー(35.6得点)、1986-87シーズンと1987-88シーズンのマイケル・ジョーダン(37.1得点/35.0得点)、そして2005-06シーズンのコービー(35.4得点)のみだ。

 とはいえ、ハーデン以外にもウェスタンにはシーズンMVP候補が多い。

 注目したい選手は、昨シーズン新人王に輝いたダラス・マーベリックス(ウェスタン7位/33勝22敗)のルカ・ドンチッチ(SG)だ。ドンチッチは昨季以上の輝きを放っており、今季は平均28.9得点(リーグ6位)、9.5リバウンド(17位)、8.7アシスト(3位)を記録。ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス/PF)やハーデン、アンソニー・デイビスらとともにMVP候補にその名を連ねている。

 一方、新人王レースではメンフィス・グリズリーズ(ウェスタン8位/28勝26敗)のジャ・モラント(PG)が最有力候補だ。平均17.6得点、7.1アシストのスタッツ以上に、華のあるプレーが観客を惹きつける。現在、月間最優秀新人賞をウェスタンは毎月モラントが、イースタンは毎月ケンドリック・ナン(マイアミ・ヒート/SG)が受賞している。

 しかしながら1月22日、右ひざ半月板損傷の手術をしてリハビリ中だったニューオーリンズ・ペリカンズ(ウェスタン11位/23勝32敗)の怪物ザイオン・ウィリアムソン(SF)がついにNBAデビューを果たした。まだ10試合の出場にとどまるが、豪快なダンクを連発して平均22.1得点を挙げており、いきなり強烈なインパクトを残している。

 シーズン後半戦はシード争いのみならず、各アウォードの行方にも注目したい。