見返りを求めず、無心で誰かに尽くした経験はあるだろうか。 関東学生リーグ戦で2位、日本学生選手権競技大会水球競技で準優勝と、好成績を収めている専修大学水泳部水球部門「GREEN WAVE」。水球はスピーディな動きやダイナミックなシュートが…

見返りを求めず、無心で誰かに尽くした経験はあるだろうか。

関東学生リーグ戦で2位、日本学生選手権競技大会水球競技で準優勝と、好成績を収めている専修大学水泳部水球部門「GREEN WAVE」。水球はスピーディな動きやダイナミックなシュートが展開され、“水中の格闘技”ともいわれるスポーツだ。身体のコンタクトが激しい試合を戦い抜く選手たちをサポートし、彼らの活躍を広めるために奮闘するマネージャーがいる。今回は緑色の波を“支える人”に迫った。

「選手たちは身体を傷つけながら頑張っている。色々なことを犠牲にしてでも、成績を残し続けるところが部の魅力」

※選手のウォーミングアップを手伝う川上マネージャー。「最初はボールが重くて上手く投げられなかったけれど、今は選手と同じくらい遠くまで飛ばせるようになった」そうだ

今回お話を伺ったのは、3年生・川上マネージャー。同部初の女子マネージャーだという。高校まではバドミントン部に所属しており、水球の競技経験はない。「水球については、それを扱ったドラマを見ていたくらいで何も知らなかった。体育会のマネージャーをやってみたいと思っていて、大学入学直後に水球部から勧誘されて興味が湧いた」。しかし、入部してから待っていたのは厳しい毎日。それまで選手たちが役割分担していた業務を一手に引き受けたが、当初は部になじめず、部員たちとも上手く会話ができなかった。

それでも、「専修大学水球部門は結果を長く残しているチームなので、携われていることが嬉しかった。選手の頑張りが自分の力になった」。2年経った今では、1年生のマネージャー2人と業務を分担している。3人で協力しながら、選手のサポートや他大学との練習に関するやりとり、学生連盟との連絡をこなす日々だ。

※競泳部門が使用したコースロープを外す。練習準備と後片付けもマネージャーの大切な仕事だ

水球部門の練習は月曜日を除く週6日、18時スタート。競泳部門とプールを併用しており、18時まで競泳部門が練習で使った後、水球部門のマネージャーと選手たちが協力して水球用ゴールを設置する。練習が始まるとプールにボールを投げ入れたり、タイムキーパーを務めたりと、21時過ぎに終了するまで休みなく選手をサポートする。

ヨーロッパでは“King of Sports”といわれ、プロリーグを持つ国もあるが、日本ではあまり知名度が高くない水球。しかし、五輪には第1回大会から正式種目に採用されており、陸上で行われるスポーツとは異なる迫力が伝われば、きっと多くの人から愛される競技になるはずだ。現在はマネージャーとしての業務を越えて、大会の運営や広報活動にも取り組んでいる川上マネージャー。専修大学水球部門だけではなく、水球という競技自体の魅力をさらに広めるために、あと1年奮闘していく。

専修大学水泳部水球部門(せんしゅうだいがく・すいえいぶすいきゅうぶもん)
1937(昭和12)年、水泳の同好会組織として発足。その30年後には関東学生選手権で総合優勝を飾った。ギネスブックにも認定されている日本体育大学の関東学生水球リーグ戦連勝記録を止めたことでも有名。