日本eスポーツトレーナー協会(JeSTA)は1月25日、J1リーグ湘南ベルマーレが主催したeスポーツ選手トライアウト決勝大会にて、出場選手らにデモンストレーション施術を行った。同協会は、「eスポーツ選手のフィジカルとメンタルの能力向上と改善」を目的に活動を展開している。

そこで、トライアウト大会の感想と、eスポーツ選手のゲームプレイによる疲労傾向などを、同協会代表理事を務める外池哲郎氏にお話を伺った。


(写真:JeSTAの理事のメンバーは皆それぞれに治療院を開業している。代表理事の外池氏は左から3番目)

--湘南ベルマーレのトライアウト大会へ参加してみた感想

外池氏:今回、Jリーグチームの湘南ベルマーレに選抜されるトライアウトという事で、一般的なオフライン大会の雰囲気に比べ、会場や選手の緊迫感は一種独特なものでした。トレーナー目線で壇上にいる選手を見ますと、様々な要素から選手は影響を受けていると感じました。

例えば、多くの観客と関係者が見つめるプレッシャーや、自宅と異なる慣れない状況での緊張感は相当なものです。また、暗く空気循環の悪いステージの環境や、音響や照明、モニターディスプレイ等のエレクトロニクスの影響は甚大だと思いました。また、選手の目の挙動からだけでも、ドライアイの傾向が感じられました。

--施術して、選手のゲーム疲労の印象は

外池氏:選手の身長に対する、机・椅子・モニターのバランスによって、選手のプレイする姿勢は変わります。その意味で、疲労の蓄積には個人差があると感じました。

出場した全選手に共通して言えることとして、第一にドライアイや目の充血の「眼精疲労」が目立ちました。

また次に、猫背の姿勢(通称C字型)でプレーする選手は、「首・肩・腰」のラインに大きな疲労蓄積がありました。疲労度軽減の観点から、理想は背骨の姿勢をS字型とする必要があります。

そして、「肩甲骨周囲」への負担です。指先で繊細な動きを行うには、その連動するより大きな関節や筋肉を固くホールドする必要があります。指先から繋がる、その部位に肩甲骨周囲があり、そこに大きな疲労があると感じました。


(写真:眼精疲労に対する即効性のあるケアは、集中力を保つ必要のあるeスポーツ選手にとって、特に必要があると感じられる)

--eスポーツトレーナーの重要性に関して

外池氏:トライアウト決勝大会に残った4選手の1週間の平均プレー時間は30から40時間と聞きました。今回、真剣勝負の大舞台で戦った選手たちの身体疲労を実際に触って感じまして、私たちの活動意義を改めて感じました。

大会中及び直後のリカバリーはもちろんのことですが、日頃のケアによって選手はより安定的に良いパフォーマンスを発揮できるだろうと思います。特に選手寿命を延ばしていく意味において、それは特に大事なことだと考えます。未来あるeスポーツ選手たちへ、私たちにサポートできることを発信し、活動を行っていきたいです。


(写真:会場内にもブースが設置され、訪れた大会関係者へもデモンストレーション施術が行われた)

JeSTAの公式Youtubeチャンネルにて、湘南ベルマーレトライアウト決勝大会での模様が動画として公開されている。以下、一部をご紹介する。

■始動!JeSTA参加の湘南ベルマーレeスポーツ大会決勝 会場施術風景

今後、同協会のホームページにて、eスポーツ選手が自宅でできるセルフケアの解説動画を作成していくとのこと。VAMOLAでは同協会と連携して、eスポーツ選手に必要な関連情報を随時ご紹介していく予定だ。

■関連リンク

日本eスポーツトレーナー協会(JeSTA)公式ホームページ http://esportstrainer.jp/

(編集●VAMOLA eFootball News編集部)