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リーグの未来を占う「NBAドラフト2025」が、あと10日後の6月26日(現地時間25日)に迫っている。最大の注目は、1位指名が確実とされているクーパー・フラッグ(デューク大学)だろう。
実力は、アンソニー・デイビス(ダラス・マーベリックス)や、バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)と対峙したアメリカ代表との練習試合でも実証済み。完成度の高さは大学生の域を超えており、期待値はザイオン・ウィリアムソン(ニューオーリンズ・ペリカンズ)やビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)といった近年の大物に匹敵する。
米スポーツメディアプラットフォーム『RG』のマーク・メディア記者は、フラッグのトレーナーを務めるマット・マッケンジー氏を直撃。NBA入りに向けた練習の詳細に加えて、同選手の近況についてもいくつかの新情報が明らかになった。
訪問する唯一の球団
マッケンジー氏によれば、フラッグは6月18日(現地時間17日)に1位指名権を持つマーベリックスとの面談が予定されているという。そして、マーベリックスはドラフト前にフラッグが訪れる“唯一の球団”になるようだ。
「その面談は、クーパーがフロントオフィスやコーチングスタッフに会い、ダラスに足を踏み入れる機会になります。施設を見学し、組織全体について学べるので、彼も楽しみにしています。実際、訪問するのはマーベリックスが唯一のチームです」
モックドラフトで2位に予想されるディラン・ハーパー(ラトガース大学)も素晴らしい未来が待っている選手であるが、マーベリックスがフラッグを指名するのは、100パーセントといっても過言ではないかもしれない。マブス関連のポッドキャストで司会を務めるケビン・グレイJr.は、球団がドラフト前にもかかわらず、公式サイトでフラッグの1位指名を誤って公開してしまったようだ。
常に飛び級の練習メニュー
マッケンジー氏は、フラッグをプロとしてのレベルに引き上げる役目を担っている。ドラフトコンバイン後は、サマーリーグおよび所属球団でプレーするためにNBA仕様のアクションを多く取り入れており、総合的なスキルセットを磨き、どのような役割を与えられても自信を持って臨めるようにすることを目的にトレーニングメニューを設定しているようだ。
明確なゲームコンセプトを持ち、多種多様なスクリーン動作に慣れるほかにも、さまざまなプログラムを実施していると語る。
「複数のチーム映像を研究し、ハイボールスクリーンやサイドピック&ロールなど、彼が使用するさまざまなアクションを見ています。ボールハンドラーであろうと、スクリーナーであろうと、クーパーがこれらのセットやアクションの中でどのように起用されても快適でいられるように準備しているのです。映像を見てからコートに出て、反復練習しています。できる限りゲームで遭遇し得る状況をシミュレーションしており、単なる スキル開発ではなく、本当に概念的な練習になります。状況の例としては、色々なアドバンテージシナリオを作成します。例えば、ショットクロック残り6秒、右サイドでマークマンから1歩離れた位置からスタートと設定し、攻守の選手を配置して、ディフェンス側には事前にどんな読みをクーパーに強いるかを指示しておきます。短時間で正しい判断を下し、適切なプレーを選択しなければいけません。大切なのは、スキルの向上だけでなく判断力を鍛えることなんです」
マッケンジー氏は、フラッグの競争精神を駆り立て、どんなドリルにも目標を設定し、選手の頭がフル回転している状態を作り出すことに重きを置いている。また、両者の関係は、6年生から続くものであり、トレーナーはその過程で何度もフラッグの競争的な一面と強いゲームへの情熱に直面してきた。その一例として、練習では飛び級をし、常に上の学年のプレーヤーと対峙させてきた。
「ハードにコーチングされることを嫌がらず、真実を伝えられることを求めていました。学習曲線が非常に急で、驚くほど早く新しいことを吸収します。中学1年生の頃にはすでに高校生と対戦させ、普通に彼らより活躍していましたね。中学2年生のときに、(NCAA)ディビジョン1に所属するメイン大学のウイングとマッチアップさせたんです。その選手には『とにかくクーパーをラインから外し、体をぶつけて揺さぶってほしい』と頼みました。最初の20分前後はクーパーが明らかに動揺していましたが、次第に対応策を見つけ、セッション終盤には完全に適応していました。それ以来、ディビジョン1の選手たちと一緒にプレーさせるようにし、彼はそこで多くを吸収しました」
CP3とKDからのアドバイス
ドラフトの準備期間中、フラッグが使用する練習施設にはクリス・ポール(サンアントニオ・スパーズ)とケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)の姿もあったそう。マッケンジー氏によると、フラッグは彼らのワークアウトを見学し、両者は質問に快く答え、特に準備方法に関するさまざまな戦略を共有してくれたという。
「最も重要なのは、“意図的に取り組む姿勢”です。派手さは必要なく、退屈に思える反復をいかに受け入れるか。クリス・ポールからは、NBAの長いシーズンを乗り切るため、オフコートでの時間管理やリカバリーの大切さについて具体的なアドバイスを受けました。デュラントについては、彼がどれほど細部にこだわり、フットワークを徹底的に磨き続けるかを間近で見ることができたのが最大の学びです。30分以上もフットワーク練習に集中し続ける姿勢、そして20年ほど年上の彼が週4~5回も追加練習に取り組む姿勢は、クーパーにとって大きな刺激になりました」
マッケンジー氏は、NBAにおけるフラッグの迅速なフィットと、両エンドでの即戦力を確認しており、「100パーセント、準備ができている」と自信に満ち溢れたコメントも残している。そして、フラッグはNBA入り後、他のプロスペクトとのギャップを広げ続け、オールスターおよびオールNBA入りという大きな目標に向けて、毎日細部にこだわり、仕事を続ける見込みだ。
フラッグはマーベリックスを訪問後、ダラスにて数日の休暇を挟み、ドラフトの舞台となるニューヨークへと飛び立つ。新時代の怪物の足音は、すぐそこまで近づいている。
文=Meiji
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