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 6月14日(現地時間13日、日付は以下同)、インディアナ・ペイサーズとオクラホマシティ・サンダーによる「NBAファイナル2025」第4戦が行われ、最終スコア111-104でサンダーが勝利した。シリーズは2勝2敗のイーブンに戻り、第5戦と第6戦はそれぞれの本拠地で1試合ずつ行われる。

 ペイサーズとサンダーは共にNBAの優勝経験がない(ペイサーズはNBAの前身ABA時代に3度、サンダーは前身であるシアトル・スーパーソニックス時代に1度)ため、初優勝がかかる大一番で現地のファンはすさまじい盛り上がりを見せている。ホームコートアドバンテージが勝負を決定づける重要な要素である中、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)は自身のポッドキャスト番組『Mind The Game』で、過去に経験した“ホームがない”ファイナルの経験を回想した。

 それは2020年に起きた“バブル”のことを指しており、当時世界中で感染が広がっていた新型コロナウイルスの影響により、3月中旬のレギュラーシーズン中断を経て、NBAが2020年7月末からフロリダ州オーランドのディズニーワールドに設立した隔離空間“バブル”でシーズンを再開した。感染防止の観点から試合は無観客で行われ、選手はシーズン終了まで“バブル”から出ることを禁止されていたため、多くの選手は数ヶ月に渡って家族や日常生活から離れる生活を余儀なくされていた。

 その“バブル”の中で、レブロン率いるレイカーズは、ジミー・バトラー(現ゴールデンステイト・ウォリアーズ)擁するマイアミ・ヒートを破りリーグ制覇を果たしている。一部のファンからは、この特殊な環境で獲得した優勝はカウントすべきではないという声が挙がっているが、レブロンは次のようにコメントした。

「あれは、バスケットボールのためだけにつくられたものすごく厳しい空間だった。普段、僕たちは人生でやりたいことができていると思うんだ。たくさんお金を稼いで、いろんなところに行ける。でも“バブル”の中では『レストランに行こう』とか『こんなことをやってみよう』といったことが全くできなかった。“バブル”の中では、全てがバスケットボールのためだけにある空間だったんだ」

 レブロンは続けて、多くの制限がかかる“バブル”の生活の中で「“こんなのはもうたくさんだ。なんで自分はここにいなければいけないんだ?”という気持ちになってくる」と、メンタルを維持することが非常に困難だったことを明かした。自身が経験した優勝の中で、最も精神面でハードなものだったと振り返っている。

 パンデミックの中で隔離空間“バブル”を作りシーズンを再開させたリーグ、そして非日常の空間を戦い抜いた当時の選手に改めて敬意を表しつつ、二度と当時のような日々が戻ってこないことを願うばかりである。