計量失敗による減点とハンデ戦ながら、問答無用の破壊力で無敗の新鋭を衝撃KO。倒す力は本物だが、倒れる敗者をよそに喜びを爆発させる様子に解説席に座ったプロデューサーは「大事な仕事は任せられない。悪く言うと面の皮が厚い。参考記録に過ぎない」と…

 計量失敗による減点とハンデ戦ながら、問答無用の破壊力で無敗の新鋭を衝撃KO。“倒す力”は本物だが、倒れる敗者をよそに喜びを爆発させる様子に解説席に座ったプロデューサーは「大事な仕事は任せられない。悪く言うと面の皮が厚い。参考記録に過ぎない」と苦言を呈した。

【映像】タオル投入の衝撃KO

 5月18日、エディオンアリーナ大阪で開催された「Krush.175」で、海斗(LEGEND GYM)と杉若怜(WIZARDキックボクシングジム)が激突。2024年8月の試合でも計量失敗している海斗は、今回も計量に失敗して体重オーバー。双方合意の上、減点スタート、グローブハンデというペナルティでのスタートとなったが、ビハインドを覆す豪快KOで勝利。宮田充Krushプロデューサーからは「参考記録にすぎない」との厳しい指摘が聞かれた。

 海斗は『THE OUTSIDER』出身で、豪快なKOを狙うスタイルが持ち味。しかし現在は連敗中で、今回が復帰戦となる。対する杉若は京都府出身の20歳で、これがKrushデビュー戦。これまでホーストカップなどで無敗を維持してきた新鋭だ。

 前日の公式計量で海斗は契約体重70kgを200グラムオーバー。昨年の試合でも計量オーバーを記録し、半年間の謹慎処分を受けた過去があるだけに、宮田プロデューサーは「前回も一回級下のウェルターで205グラム落とせなくてグローブハンデになってるんですよ……。1回は人間だからあると思うけど、3回目なんだよなぁ」と半ば呆れた様子でボヤく。
 
  結果として、海斗は第1ラウンドから減点1、グローブハンデ(海斗10オンス・杉若8オンス)、さらにファイトマネーの一部没収というペナルティを課された。ABEMAの解説・卜部弘嵩は、「200グラム(超過の差)は大したことはない。ただ最後の(減量)200グラムはキツイんです。それを諦めちゃった人間なのか、ちゃんとパスしたのか。頑張ったかは試合に影響がある」と語り、ペナルティの背景を丁寧に説明した。

 試合は1ラウンドから火花を散らす展開に。杉若が右ミドルとワンツーで前に出れば、海斗は左ストレートやカーフキックで応戦。互いに一歩も引かない熱戦が繰り広げられた。しかしラウンド終盤、海斗が蹴りでダメージを与えると左右のフックを連打し、杉若をロープ際に追い込む。そして強烈なパンチで最初のダウンを奪取。立ち上がった杉若に再びパンチを浴びせ、2度目のダウン。ゴングに救われたが、杉若のダメージは明らかだった。

 前ラウンドの破壊力そのままに2ラウンド開始わずか10秒で決着。海斗はミドルを皮切りに連打を再開し、強烈なパンチの連打。最後は左で杉若の頭がガクンと揺れ、後ろに倒れ込む。ダウンと同時に陣営からタオルが投入され、レフェリーが即座に試合を止めた。
 
 電光石火のフィニッシュで文句なしのKO勝利を収めた海斗だったが、ファンの反応は冷ややか。連打を一方的に浴びていた杉若に対し「とめろとめろ」と声が上がった一方、勝利に喜ぶ海斗には「喜ぶなよ」「計量オーバーしてこれかよ」といった辛口コメントも見られた。なお、海斗はガッツポーズで喜びを爆発させ、終始チャラけた態度でリングを後にしたが、マイクパフォーマンスは許されなかった。

 試合後、宮田プロデューサーは海斗について「悪く言うと面の皮が厚いんですよ。オーバーして相手に受けてもらったら、ちょっとね…引け目みたいなのがあるんですけど、そこを海斗くんは悪びれない強さがあるんですよ」と、その“鈍感力”を認めつつも、「ただ大事な仕事は任せられない」ときっぱり断言。

 「これに勝ったからといってタイトルマッチはないですよ。またオーバーされたらこっちはたまったもんじゃない」と続けたうえで、「僕のなかでは参考記録。たかが200グラムですけど、されど200。しっかりクリアしてきた杉若の方を考えてあげたい」と、敗れた対戦相手へのリスペクトも忘れなかった。