◆レスリング ジュニアクイーンズカップ選手権 最終日(13日・東京武道館) U23(23歳以下)57キロ級で、昨夏のパリ五輪女子53キロ級金メダルの藤波朱理(21)=日体大=が階級変更後初陣で優勝した。全2試合でテクニカルスペリオリティー(…
◆レスリング ジュニアクイーンズカップ選手権 最終日(13日・東京武道館)
U23(23歳以下)57キロ級で、昨夏のパリ五輪女子53キロ級金メダルの藤波朱理(21)=日体大=が階級変更後初陣で優勝した。全2試合でテクニカルスペリオリティー(TS)勝ちする圧巻の内容。2017年からの連勝を「141」に伸ばし、1階級上げた57キロ級で目指す2028年ロサンゼルス五輪での2連覇へ好スタートを切った。U23・62キロ級ではパリ五輪女王の元木咲良(23)=育英大助手=が、同五輪以来の復帰戦を優勝で飾った。
連勝街道をひた走る女王の強さや動きの切れ味は、階級が上がっても変わらなかった。圧巻の内容で頂点に立った藤波は「57キロ級のスタートの試合ということで、いい緊張感を持ちながら(相手の)パワーや自分の調整の方法などを確かめるいい大会になったと思う」と、うなずいた。
初戦の準決勝をわずか1分48秒、続く決勝は2分59秒でTS勝ちをおさめ、2試合ともに第1ピリオドで終わらせた。中学時代の17年から続く連勝は「141」に伸びた。「(試合後の)腕の張りは、53キロ級の時に比べてあった」と階級を上げた実感を語った。一方で「しっかりスタンドの部分で57キロ級を感じたかった」。相手の圧力を感じるためにあえて寝技は控え、片足タックルなど立ち技でポイントを重ねる余裕も見せた。
以前は「1か月前になると、減量中心の生活になっていた」という状態だったが、階級変更で軽減されたという。父・俊一さんも「かなり調子は良かったと思う。今後が非常に楽しみ」と手応えを語った。藤波は「技術の面に集中できる。得意のタックルだけでなく、幅を広げたい。いろいろな形でポイントが取れる攻撃力の高いレスリングがしたい」と意欲的に語った。
もちろん減量苦はゼロになったわけではない。優勝のご褒美を問われると「家族とお好み焼きに行く。ずっと行きたい広島焼きのお店があって、モチベーションだった。そればかり(情報)を見ていた」とちゃめっ気たっぷりに笑った。
U23世界選手権(10月・セルビア)の日本代表となり、出場する予定だ。パリの金について「過去のこと。次の勝負は始まっている」ときっぱり。「57キロ級でどういうレスリングができるか、自分自身に期待しているし、53キロ級の自分を超えられるように頑張りたい」。女子レスリングで五輪2階級制覇なら伊調馨、川井梨紗子に続く3人目となる。次戦は6月の明治杯全日本選抜選手権の予定。ロスでの快挙へ、一気に加速していく。(三須 慶太)
〇…元木はパリ五輪以来8か月ぶりの実戦で、女王の貫禄を示した。決勝の1試合だけだったが、わずか1分ほどでフォール勝ち。「ちょっと緊張した。技術の幅を広げることに挑戦してきたけど、試さずに終わってしまったので次回に取っておこうと思う」と笑みを浮かべた。金メダリストの肩書の重圧を感じる時もあったが、現在は吹っ切れたという。「負けたら負けたで、はい上がる姿を見てもらえばいい。挑戦者として頑張る」と気合を入れた。
◆藤波 朱理(ふじなみ・あかり)2003年11月11日、三重・四日市市生まれ。21歳。父・俊一さんの影響で4歳からレスリングを始める。三重・いなべ総合学園高から日体大へ進学。全日本選手権は20年から3連覇。世界選手権は21年オスロ大会、23年ベオグラード大会で金メダル。23年杭州・アジア大会優勝。24年パリ五輪53キロ級で金メダル。164センチ。家族は両親と兄。