大相撲の春巡業が12日、神奈川県藤沢市の秋葉台体育館で行われ、急性腰痛症で休場していた高安(35)=田子ノ浦=が合流。春場所で逃した初賜杯を「優勝できなかったというよりも、優勝に近づけた。ここ何場所こういう場所がなかったので」と前向きに捉…

 大相撲の春巡業が12日、神奈川県藤沢市の秋葉台体育館で行われ、急性腰痛症で休場していた高安(35)=田子ノ浦=が合流。春場所で逃した初賜杯を「優勝できなかったというよりも、優勝に近づけた。ここ何場所こういう場所がなかったので」と前向きに捉えた。

 春場所は12勝で並んだ大の里との優勝決定戦に敗れた。場所が終わり「緊張感が抜けたのか、痛みが出てきた」と、かねてから抱える腰痛が再発。それでも「15日間は痛みがなくて全力で臨めた。動きは場所ごとに良くなってきている。失速しないようにしたい」と、手応えを口にした。

 優勝の可能性を残した千秋楽では、9度目にして初めて本割で勝った。成長を示した一方で「千秋楽の前の日に落としてますからね。そういうところを勝っていかないとなかなか難しい」と、14日目に賜杯争い単独トップから後退した美ノ海戦の黒星を課題に挙げる。

 ただ、場所前の目標は2桁勝利と三役復帰だっただけに「目標以上にできたというのが自分の中である。悔しい気持ちもありますけど、本来の目標は達成している。最後、勝てれば良かったですけどね。取組が終わって1時間後くらいには、気持ちは晴れ晴れとしていた」と、収穫の方が大きかった。

 この日の巡業では幕内トーナメント2回戦で大の里を送り出し、本場所とは比べられないものの意地を見せた。準決勝では宇良を熱の入った取組で下し、決勝で敗れた豊昇龍とも熱戦を展開。合流初日に、いきなり腰痛の再発が心配されるような動きを披露した。

 夏場所(5月11日初日、両国国技館)では、三役復帰が濃厚で、綱とりの大の里ら上位陣と再び対戦する。「ねぎらいの言葉をたくさんいただきましたね。5月も注目されるように相撲を取りたいです」と、前を向いた。“10度目の正直”へ、気持ちは切り替わっている。