F1第24戦アブダビGPレビュー(前編) 角田裕毅(RB)の人生を大きく左右するかもしれない2024シーズン最終戦・アブダビGPのレースは、呆気なく終わってしまった。 11番グリッドを獲得し、そこから入賞圏を目指してのスタート。レッドシグナ…

F1第24戦アブダビGPレビュー(前編)

 角田裕毅(RB)の人生を大きく左右するかもしれない2024シーズン最終戦・アブダビGPのレースは、呆気なく終わってしまった。

 11番グリッドを獲得し、そこから入賞圏を目指してのスタート。レッドシグナルが消え、ステアリング裏のクラッチパドルを操作してクラッチをつないだ瞬間、駆動が抜けてアンチストールシステムが作動してしまった。

 クラッチのつながり方が適正ではなく、そのままではエンジンがストールしてしまうとマシンが自動的に判断し、クラッチを解除するシステムだ。

 エンジンが空回りする間に続々とライバルたちに抜かれ、角田は最後尾まで下がってしまった。


11番グリッドの角田裕毅がまさかスタートで...

 photo by BOOZY

「クラッチがくっついた感じがあったのでスタックしてしたんだと思うんですけど、過去4年間というか、これまでレースをしてきてスタートでアンチストールが入ったことは一度もなかったので驚きました。

 スタート手順で何も間違ったことはしていないと思いますし、ピットインした時もクラッチパドルを引いてもスムーズにニュートラルにならなかったので、クラッチに何か問題があったことは間違いないと思います」

 これまでに何度かスタート失敗に見舞われてきたRBのマシンだが、それはクラッチやエンジンマップのセッティングに起因するもので、ここまで大きな失速はなかった。

 最後尾まで落ち、実質的にこれで角田のレースは終わったも同然だった。

 このアブダビで予選4位に入る驚異的な速さを見せたハースや、そのニコ・ヒュルケンベルグのグリッド降格ペナルティを受けて5番グリッドに繰り上がったアルピーヌなど、彼らとのコンストラクターズランキング6位争いは、もともと望み薄だった。

 それよりも、思いっきりレースをし、このマシンでできる最大限の走りを見せることで、来シーズンにつなげたかった。しかし、それも叶わない展開になってしまった。

「詳しくはこれからチームに聞きたいと思いますが、こういうシーズンの終わり方になってしまったのはすごく残念ですね」

 角田は悔しさをにじませながら、それでも感情を押し殺して冷静に言った。

【Q3進出の可能性もなくはなかった】

 そもそも、前戦カタールで"ほぼビリ"のマシンだったVCARB 01は、サーキット特性的には合っているはずのアブダビでは中団グループで戦えるはずだった。

 しかし、0.3秒先のハースやアルピーヌはおろか、2025年に向けてアップデートを先行投入したザウバーにも0.1秒の後れを取り、パーツ不足で最下位のウイリアムズとは0.1秒の差もない9番目のマシンでしかなかった。

 そのマシンを予選11位・12位に持っていったRBの両ドライバーは、最大限の仕事をしたと言える。

「Q3に行くのが厳しいことは覚悟していましたし、ドライバーとしては常にその予想を上回る走りをしたいと思っていますけど、十分ではなかったですね」

 10位のセルジオ・ペレス(レッドブル)までわずか0.040秒。本当にパーフェクトなラップなら、Q3進出も有り得たかもしれないという思いが、角田のなかにもないわけではなかった。

「もう少し思いっきりいければQ3に行けたかもしれない。ただ、そのためには本当に完璧なアタックじゃなきゃダメで、細かく見ていけば『もっとああできた、こうできた』というところはあると思います。

 もう少しクルマにペースがあれば、また違ったところもあったのかなとは思う。ですけど、金曜からセッションごとによくしていけましたし、予選では今週末のなかで一番いい状態であったので、そこはよかったと思います」