東京オリンピック2020から、正式種目にスポーツクライミングが追加された。新たなジャンルのスポーツとして注目を集める同競技で、野中生萌と野口啓代の2人がメダルを掴み、日本のスポーツクライミング界に大きな足跡を残した大会となった。  …

東京オリンピック2020から、正式種目にスポーツクライミングが追加された。新たなジャンルのスポーツとして注目を集める同競技で、野中生萌と野口啓代の2人がメダルを掴み、日本のスポーツクライミング界に大きな足跡を残した大会となった。

 動き出した日本のスポーツクライミングの歴史に、今まさに名を残そうとするのが、藤井快選手だ。東京オリンピック2020には惜しくも出場ならなかったが、国内外を問わず大きな舞台で数多くの優勝・入賞を重ね、結果を残し続けてきたクライマーである。

己の身体一つで課題に挑み、世界と渡り合う藤井選手は、日々どのような鍛錬を積んでいるのか。『森永製菓inトレーニングラボ』は、使命として掲げる「世界で勝てるようにサポートすること」をどのように体現しているのか。今回は藤井選手と、吉髙藍さん(パフォーマンススペシャリスト)から話を聞いた。

繊細な感覚を共有する入念なやりとり

スポーツクライミングには”どこまで登れるか”を競う『リード』、”いくつ登れたか”を競う『ボルダリング』、”登る速さ”を競う『スピード』の3つの種目が存在し、現在藤井選手はリードとボルダリングを中心にトレーニングを重ねている。

身体能力が大きく寄与するスポーツクライミングだからこそ、普段のトレーニングでは身体の感覚の共有が重要であり、同時に最も難しい部分だという。藤井選手は、「クライミングは客観的に見るとすごく簡単に思われがちですが、実際にやってみると難しい競技で、その主観的な感覚のすり合わせが大切です。ボルダリングは(つかむ部分が)持ちづらくて、リードは(つかむ部分を)持てなくなっていく感覚があるので、そこを伝えています」と表現する。

吉髙さんも、「試合が終わるごとに、藤井さんの"持つ"感覚を欠かさず聞いて普段からやりとりして、藤井さんも感覚を噛み砕いて伝えてくださっています。いつでも課題感を持って取り組まれていて、体の感覚も繊細なので、『なんか気持ち悪いです』とすぐフィードバックしてくださるので、トレーニングの時にも感覚を伝えてくださるのはありがたいですね」と話す。『森永製菓inトレーニングラボ』では、入念な感覚の共有のための丁寧なコミュニケーションが行われている。

同じ絵を思い描くトレーニングとサポート

アスリートとトレーナーの密なコミュニケーションが生きるのが、実際のトレーニングの場面だ。メニューを考える吉髙さんはこう続ける。「藤井さんの課題に合わせて提案をして、取捨選択は藤井さんと確認しながら行います。『ここの関節の使い方のトレーニングならこのスクワットのメニューでどうですか』とまずやってみて、藤井さんの中でしっくりきたら、それを続けます。また、生理学的にトレーニングの効果を出すためにはある程度期間が必要なので、藤井さんからこの課題に集中して取り組むと聞いたら、目標とどれくらいで効果を出すかについても念頭に置いて取り組んでいます」。

行き当たりばったりのトレーニングを用意するのではなく、目標と課題に時期を照らし合わせながら、藤井選手のためのメニューを用意し、トレーニングのパートナーとして寄り添った提案がなされている。

実際に自分の身体の状況も変わってきているという。「クライミングで使うような筋肉のことしか知らなかったので、プロの方々にサポートしていただいて、トレーニングや栄養の知識を身につけました。自分で学ぶよりもプロに聞いたほうが時間も短縮できます。以前から課題だった股関節周りの改善に取り組むのと、トレーニングをここで続けることで、足の踏ん張りや、かかり方の感覚が変わってきているのを感じますし、実際に成績にも出てきています」。

アスリートの心身を支え、共に歩んでいく

実態のない、時にはモヤモヤする”感覚”を言語化、共有しながら、自分に合ったトレーニングが提供されるからこそ、『森永製菓inトレーニングラボ』でアスリートは100%でトレーニングに注力できる。何より、実際の試合では孤独に課題へ立ち向かうクライマーにとって、普段の感覚から何気ないことまでいつでも話せる環境は、大きな心の支えになっている。

吉髙さんは、ひとりの人間としての藤井さんとの向き合い方も大切にしている。「精神的な部分もアスリートには大きいです。藤井さんにはご家族もいらっしゃって、アスリートと家庭の両立が難しいと思います。限られた時間の中でトレーニングも家族の時間も過ごしながら結果を出さないといけない立場にあるので、そこを考慮しながら、一緒に答えを探しています」。

目下の目標は2024年パリオリンピック競技大会で結果を収めることだ。「今はできないことをたくさん探して、全部できるようにしています。結果を残してこのチームにお返ししたい思いですね」と話す。世界で勝てるサポートを信念として持ちながら、『森永製菓inトレーニングラボ』はアスリートと常に歩んでいく。

藤井快選手と吉髙藍さん、三好友香さんの対談動画はこちら。
前編(https://sportsbull.jp/p/1427026/
後編(https://sportsbull.jp/p/1427036/

写真左:吉髙藍さん(パフォーマンススペシャリスト)。中央:藤井快選手 右:三好友香さん(ニュートリションスペシャリスト)。

藤井快(ふじい・こころ)
1992年11月30日生まれ、静岡県出身。Team au所属。2021年9月に行われた「IFSCクライミング・世界選手権ボルダリング モスクワ(ロシア)」で悲願の世界選手権初優勝を飾る。国内通算6勝、海外通算11勝。

吉髙藍(よしたか・あい)
早稲田大学卒業。森永製菓inトレーニングラボでは、パフォーマンススペシャリストとしてアスリートをサポートする。

森永製菓inトレーニングラボ
inブランドが契約するトップレベルのアスリートを最先端のトレーニングや栄養指導などを通じてサポートする施設。
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