巨人の現役球団職員としての業務をこなすパワプロのプロ選手・坂東秀憲さん 一般社団法人日本野球機構(NPB)と株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共催するプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」が12月…

巨人の現役球団職員としての業務をこなすパワプロのプロ選手・坂東秀憲さん

 一般社団法人日本野球機構(NPB)と株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共催するプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」が12月5日に開幕する。3シーズン目となる今季も厳しいプロテストを通過したトッププレイヤーたちが1球団4名のチームを結成。プロ野球同様に、セ・パ両リーグに分かれて日本一の座をかけて争う「eBASEBALL プロリーグ」2020シーズンの注目選手を紹介していく。

 巨人の現役球団職員としての業務をこなしながら「eBASEBALL プロリーグ」に巨人の代表選手として参加するプレイヤーがいる。坂東秀憲選手は昨季eドラフト2位で巨人に指名され、パワプロのプロ選手としてデビュー。e日本シリーズでは日本一のかかった大事なイニングを任されると、追いすがるロッテの猛追を巧みな投球術で断ち切り、日本一に貢献した。

 球団職員として、そしてパワプロの巨人代表選手として。今シーズンへの意気込みを聞いた。

 巨人がペナントレースでの優勝を決めた瞬間は東京ドームにいて、モニターで試合を見ていました。引き分けでの優勝だったので、勝って決まればよかったのですが、1日でも早く優勝が決まってよかったです。

 僕はふだん、ブランドコミュニケーション部というところで仕事をしています。仕事の内容は大きく分けると2つあって、球団のロゴや映像、選手の肖像などのビジネスとライセンス管理。もう1つは、プロモーションでSNSや、マスコットや球団チアの管理などをしています。同時に、eスポーツの担当もしていますよ。

eドラフト会議では、巨人とDeNAの2球団から指名

 昨年6月に日本テレビ出身の今村司社長が就任してから、内部の映像をたくさん撮るようになりました。それを外に出すようにもなったし、テレビ局に渡すようにもなりました。自粛期間中には、選手の映像を撮ってアップしたりもしていました。今は報道の方もグラウンドに降りることはできないですから、発信してもらうために球団でそういう取り組みをしています。なので、今年は忙しかったです。「できるのか、できないのか」を考え直すところから始まりましたから。試行錯誤しながら…というシーズンでした。

 そんな中でも、あまり間隔を空けないようにパワプロの練習もしていました。継続契約の希望は出したのですが、他のメンバーもこともあるので、継続はないだろうと思っていました。ただ、e日本シリーズに出場したおかげでeドラフト会議の前のプロテストを受けずに済んだので、そこはすごくラッキーでした。

 eドラフト会議では、巨人とDeNAの2球団から指名をいただき、抽選で巨人に決まりました。「もしかしたら、(巨人以外の)どこかから指名がくるかもな」と思っていたのですが、その時はその時だなとも思っていました。実力を評価してもらったのはすごく嬉しいです。「余っていたから指名する」のではなく「チームに欲しい」と言われる方が、1選手としていいこと。ただ、自分の仕事もあるし、どうなるのかなという不安もありました。でも、ネガティブな気持ちはなかったですね。

「野球が好きな人にもこういう世界があることを知ってもらえたら」

 昨シーズンも巨人代表選手として戦いましたが、まだ全然物足りない。負けたり、引き分けたりした試合の中にも、勝てたポイントはあったと思うんです。日本一にはなったけど、チームで勝ち越したのはてぃーのさん(舘野)だけ。引っ張ってもらったところがあるので、去年のロッテのようにみんなが結果を残して、もう一度日本一になるというのが今の目標です。もちろん、自分は全部勝ちたいと思っているし、引っ張りたいと思っていますが、チーム全員が実力を発揮するのが理想です。

 今季の巨人選手のパワプロ能力の査定は、長打力が減ってしまった印象です。ゲレーロ選手、ビヤヌエバ選手が抜けて、阿部さん(現2軍監督)もいない。坂本選手は昨年40本塁打を打ちましたが、今年は新型コロナの影響で試合数が少ないこともあって19本に終わってしまいました。それでも打線は十分強力です。今年は救援陣もすごくよかったので、細かくつないでいく投手力は去年よりいいと思っています。

 今年1月のe日本シリーズを終えて、2月の春季キャンプではチームの前で優勝報告もしました。昨シーズンの「eBASEBALL プロリーグ」が開幕する前に秋季キャンプが行われている宮崎で、1軍のマネージャーが原監督に僕を紹介してくれました。監督からは直接「頑張って」という言葉をいただいたので、日本一といういい報告ができたことは本当によかったです。選手やスタッフも興味を持ってくれていて、球場ですれ違う時も「見たよ」と話をしてくれる人もいます。僕のおかげ…というのはおこがましいですが、職員が参加しているということもあって、球団の中の「eBASEBALL」への理解はある程度生まれたのかなと思っています。

 12月5日から「eBASEBALL プロリーグ」2020年シーズンが始まります。こういうときだからこそ、eスポーツ、そして「eBASEBALL」の魅力を伝えたい。結果を残すのも大事ですが、ゲームを好きな人が野球に興味を持つきっかけになったらいいし、野球が好きな人にもこういう世界があることを知ってもらえたら。そういう双方向のつながりの中に、自分がいれたらいいなと思っています。(安藤かなみ / Kanami Ando)