「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。第14回の講師は高校時代、インターハイ・日本選手権ともに3連覇、引退後結婚・進学・出産・競技転向を経て2019年に陸上に復帰し日本新記録を樹立、現在も第一線で活躍する寺田明日香選手。全国高校陸上部の現役部員や顧問の教員など約10名が集まり、今のリアルな悩みや質問に答えた。

衝突を越えた高校の仲間は今でも仲間

まずは寺田選手からの挨拶でオンラインエール授業はスタート。「緊張してますか?私も緊張しています。短い時間ですけど、積極的に声を聞かせてほしい」と話しかけ、「少人数ではあるが、合同練習はできはじめている」との高校生の現状についての返答に「頑張ろうね」と笑顔で反応する一面もあった。

次に話題は寺田選手の高校時代について。陸上競技で五輪選手になることを夢見ていた当時の写真を見ながら「トゲトゲしていました。(理想が高かったのか)リレーのメンバーや先生とも衝突していた。ただ、今でも仲間でいられる人たちで、集まると当時のことを話している」と振り返った。

技術面の質問も多く聞かれた。100m・400mハードルの男子選手から「ハードルを飛ぶ時に後半スピードに乗れず、5・6台目から少しずつ差が開いてしまう。差を縮めるには?」という質問には、「直線競技なので、まずはスプリント(=全力疾走)を上げてみること」と指摘。「自分の走りをコーチと見て研究し、傾向を知ってみること。100mハードルだと4〜5台目あたりがトップスピードになるとよいタイムを狙える。どうやって力を入れすぎずにトップスピードに乗るか、頑張ってみてほしい」とアドバイスした。

今と自分自身に、精一杯負けないように

後半はメンタル部分や将来への質問も含めた、やや突っ込んだ内容に。

「目標がなくモチベーションが下がっている、大会でベストを保つためのモチベーションは?」という質問には、「モチベーションが下がること自体は悪くない。人間だから」とまずはフォロー。「その下がった中でも、できることを考えること。大人でも下がるので、高校生も下がることはあると思う。今は陸上を違う視点から見られた時期だと思って、そういう意味でプラスに捉えてほしい」と、前向きなメッセージを贈った。

3年生・スプリンターからの「大きな大会で、緊張して体が動かなくなる」との悩みについては、「わかるよ。私も緊張する」と強く共感。「緊張が悪いものだと思われがちだけど、緊張がないといいパフォーマンスは出ない。頑張ろうとしている証拠なので、その自分を認めて『私が頑張ろうとしているから、頑張れ』と思ってあげるといいね。動かなかった体がどんどん動くようになる」と励ました。

「(一度引退し、結婚・出産を経て、7人制ラグビーに競技転身、その後陸上に現役復帰した寺田選手に)陸上を離れ違うスポーツをやってよかったことはありますか?」という質問には、「後悔は少しありました。ただ、陸上以外で何があるか道を探すには必要な時間だったと思う」と振り返りながら、「結果だけを気にしていた以前とは意識が違う。辞めることはネガティブだけどそれだけじゃないです。今やりたいと思った時が純粋に取り組める時。いろんなことが世の中にはあふれているので、いろいろ探してみてほしいと思う」とアドバイスした。

最後に「明日へのエール」として「今は試合がないかもしれないが、今までやってきたこと自体が大切なこと。一緒に頑張ってきた先生や両親、仲間に感謝して。私も次に向けて頑張るので、一緒に頑張りましょう」と語った寺田選手。その後全員で記念撮影し配信は終了。最後は大きな拍手が起こっていた。

授業後の「アフターセッション」でみんなの本音を語り合う

寺田選手とのオンラインエール授業後に、高校生と先生たちだけの「アフターセッション」を開催。授業でのエールを受けて、今のリアルな想いを自由に語り合った。

 

まずは今日の授業を受けて、今シーズンの目標についての話題に。徳島県の男子高校生は「110mハードルを15秒3で走ること」と具体的な目標を語り、「(寺田選手のアドバイスを聞いて)課題を立てて練習していこうと思う」と力強く話した。また女子高校生は「100mハードルを14秒台で走れるように」とコメント。「スプリントも磨きながら、ロングインターバルやリズムよく走る練習をしていきたい」と語っていた。

また、授業を見守っていた教員からの声も聞かれた。兵庫の教員は授業の印象を「みなさんしっかりとした考えを持って話していて立派だなと思った。将来が楽しみ」と答え、「(私も)生徒の質問には的確に答えるようになっていきたい」と手応えを感じていたようだった。

また、部活動がなかなか再開されなかった東京の高校の話題になり、「競技場がまったく使えない時期が何か月か続いたので、家の前の坂を使って練習したり、タブレットからオンラインでつないで、部員のみんなと補強練習をしていたりして何とか頑張っていた。夏にU18の日本選手権があるので、そこに向けて頑張っていきたい」と抱負を語っていた。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。

全国の同世代の仲間と想いを共有しながら、今のやるせなさ、不安感を少しでも前向きにしていけるエールを送り続ける。