6日、慶應義塾大学野球部の日本一に貢献した郡司裕也選手と高橋佑樹選手が進めている研究の実験に立ち会った。彼らの研究テーマはeスポーツがもたらすリアルスポーツへの影響だ。特に現実の打撃動作とパワプロの打撃動作の視線の動きを検証しているとのことだ。 

 野球経験者で比較的パワプロの操作に慣れている人を中級者、操作に慣れていない人を初級者、そしてeBASEBALLプロリーグで活躍している選手を熟練者と定義づけている。ここまでの研究成果によると、初級者と中級者はゲーム内の投手の動作に注視してからストライクゾーンへと視線を動かしていて、両者に大きな違いは見られなかったという。一方で熟練者は投手の動作を見ることはなく、ストライクゾーンのみに視線が集まっていることが判明している。このバーチャルな打撃がリアルな打撃にどういった影響を及ぼすのかが今後の研究課題になりうるとのことだった。 

 この日はパワプロと現実、それぞれの投手がリリースした瞬間から0.08秒後で動画を切り、そこまでの情報で球種とコースをどれだけ判別できるかの実験が行われた。現実の野球では投手のリリースから0.08秒で球種やコースを判別することが重要になるという。 

赤い部分が特に視線が集まっていたところ。実験に使用した動画はパワプロと同じアングルになるように撮影したようだ。

 パワプロの投手の球種とコースの正答率は中級者では3割程度とのことだが、この日の実験で熟練者は100%に近い数字の正答率を出した。さらに驚くべきは現実の投手のリリース動画の正答率。なんと大学日本一に導いた選手を上回る正答率を出したのだ。この結果について「これだけはっきりした数字が出たので、いい実験になった」と顔を綻ばせていた。 

 実験後はeBASEBALLプレイヤーからは「実際の試合中の視線の動きも気になる」「投球の際は人によって視線が違うかもしれない」と今後の研究を楽しみにする声が上がっていた。もしかするとパワプロを極めることが現実の野球の上達につながっていく、といった研究成果も得られるのかもしれない。今後の取り組みに大いに注目しよう。 

文・スポーツブル編集部