DeNA-広島14  6回DeNA無死、筒香が中越えに二塁打を放つ=横浜【写真提供:共同通信社】

 

 横浜DeNAのCS敗退が決まった直後、チームの主砲である筒香嘉智のポスティングシステム(入札制度)を利用してのメジャーリーグ挑戦が、球団から容認されたことが明らかにされた。これにより今オフ、日本が生んだ和製大砲を巡り、メジャー数球団による争奪戦が繰り広げられることになる。

■5年目で一人前、7年目でキャリアハイ

 改めて筒香のNPBでの足跡を振り返ってみたい。横浜高校からドラフト1位で横浜(現横浜DeNA)に入団。プロ1年目の2010年に2軍で新人記録となる26本塁打をマークし、同年10月5日に1軍デビュー。そして同7日の阪神戦(横浜)、久保田智之から自身1軍3打席目でプロ初本塁打を放った。

 順調な滑り出しに見えたプロ人生だったが、そこから3年間は苦しんだ。新人王も期待された2011年は、5月に右足首のじん帯を痛めて約3ヶ月の戦線離脱。2012年は春季キャンプ中に負傷して出遅れた中でも10本塁打を放って“兆し”を見せたが、飛躍が期待された2013年は開幕から打撃不振に陥り、その間に中村紀洋にサードの定位置の座を奪われ、一塁にもブランコがいたために出番を大きく減らすことになった。

 ようやく“一人前”となったのは高卒5年目の2014年だ。レフトにコンバートされた中で好調をキープして打率.300、22本塁打、77打点をマークした。そして翌2015年はチームキャプテンに就任した中で打率.317、24本塁打、93打点と成績を伸ばすと、2016年には打率.322、44本塁打、110打点とハイレベルな成績で2冠を獲得。圧倒的な打棒で.OPS1.110をマークしてキャリアハイのシーズンを過ごした(表1)。

■2017年からの試行錯誤

 2016年の大活躍から三冠王の期待も高まった筒香だったが一転、2017年以降は思うように数字を伸ばせなかった。その要因の一つが、対ストレートに対する成績の低下にある(表2)。2016年の打率.320から2017年、2018年はともに打率.288。そして今季は打率.227と大きく数字を下げた。改善すべき点だ。

 その反面、確率が上がった球種がある。それがカットボール(表3)。2018年の打率.300から今季は打率.345。侍ジャパンの4番として2017年開幕前に行われたWBCに出場して実際にメジャーの一線級と対戦した中で、いわゆる“動くボール”に対応するために打撃フォームを毎年のように変えてきた筒香だが、特に今年は重心を低く落としたノーステップ打法に取り組んだ。その成果の一つが、カットボールへの対応力として現れている。

 将来のメジャー挑戦を見越した試行錯誤は、打球方向にも見て取れた。キャリアハイだった2016年から、凡打方向(表4)は徐々に流し打ちとなる左方向への割合が増加。その一方で安打方向(表5)は、2017年、2018年と左方向を増やしたが、今季は再び右方向への安打が増加。打球を直前まで見て逆らわずに打つことを心がけてきたが、思うように結果を残すことができず、再び本来の“引っ張り”で安打を増やした。

■本家“ゴジラ”と比較すると…

 試行錯誤が続く筒香であるが、メジャーの舞台で注目されるのが、やはり「どれだけ本塁打を打てるのか」ということである。日本人スラッガーとしては松井秀喜以来のメジャー挑戦となるのだから、当然だ。

 先人である松井秀喜のNPB時代の成績(表6)を振り返ると、本家“ゴジラ”の凄まじさが改めてわかる。日本でプレーした期間は筒香と同じ10年間であるが、本塁打数は筒香の205本に対して332本。タイトルの数も筒香の2つに対して松井が7つ。特に渡米直前の2002年に打率.334、50本塁打、107打点、OPS1.153と圧倒的な成績を残しており、この点も筒香と大きく異なる。

■ターゲットは「シーズン31本塁打」

 ただ、NPBで圧倒的な長打力を誇っていた松井だが、メジャーでは本塁打数が激減。チャンスでの勝負強さでシーズン100打点を計4度記録するなどの活躍を見せたが、本塁打は2004年の31本がMLB自己最高だった(表7)。

 松井が苦しんだのが、メジャー独特のボールだったという。特に1年目は手元で微妙に変化しながら外角に落ちる「見たこともないボール」(本人談)を詰まらせる場面が多発し、 “ゴロ・キング”とも揶揄された。

 その“戸惑い”を考えると、筒香がすでにWBCでメジャーの一線級と対戦経験があることは大きなアドバンテージになる。その中で、ここ数年の打撃フォーム改造を含めた試行錯誤も必ず活きてくる。毎年、フォームを変えながらも一定の結果を残してきた“調整力”は、新たな舞台で活躍する際にも役立つはずだ。

 果たして、筒香はMLBで何発の本塁打を放つのだろうか。期待は松井秀喜の31本塁打を超えること。ひと足早く渡米して活躍しいている“二刀流”大谷翔平にも負けるわけにはいかない。まずは争奪戦。その後に、“ゴジラ”松井以来の「純正」日本人スラッガーの新たな挑戦が、いよいよ始まる。その準備は、すでに整えている。