井上 広大(いのうえ こうた)
●守備 外野手 ●身長・体重 187cm・97kg
●生年月日 2001年08月12日 ●所属 履正社高
●球歴 履正社高 ●出身地 大阪府 ●投・打 右・右
【写真提供:共同通信社】

 令和の最初の夏を制した履正社。優勝ロードはセンバツの1回戦、星稜の奥川に17三振を喫し完敗したところから始まった。

 150キロのストレートに加え、低めに制球される多彩な変化球に苦しんだ。履正社の岡田龍生監督は「奥川君に強くしてもらった」と繰り返し言った。センバツ以降、さらに打撃のレベルアップを図る。努力を積み重ねたから、その屈辱を晴らす機会が夏の最後に廻ってきたのだ。

 夏の甲子園で履正社打線は霞ケ浦・鈴木、津田学園・前、明石商・中森など右の本格派投手を粉砕した。その中心に井上がいた。

 井上は初戦、霞ケ浦の鈴木から第1打席でインコースのスライダーをレフトへホームラン。2回戦、津田学園の前から低めのストレートをツーベース。高岡商戦で5打点。外角の変化球をレフトに叩き込んでいる。そして決勝で奥川にリベンジを果たす。

 井上もセンバツは4打席ノーヒット2三振だった。夏までの練習試合、4番を外された時があったと言う。「弱気になって初球を見逃すことが多かった。積極性に欠けていることを指摘されました。履正社の4番はそんなことじゃ、あかんねんと」。

 そこから這い上がった。決勝戦3回の2打席目。二人の走者を置いて奥川の初球の変化球をバックスクリーンの左に打ち込んだ。高めに浮いた甘いボールを仕留めたものだ。ここに井上の成長がある。初回の打席はスライダーを見逃して三振。「同じボールで入ってくるのではないか」とスライダーを待っていたという。

 甲子園6試合で打率3割8分5厘。3ホームラン、14打点。強打履正社をけん引した。

 二つ上の先輩、安田尚憲(現千葉ロッテ)を彷彿させる重量感。187センチと大柄なスラッガータイプだが、ストレートにも変化球にも対応する。リーチの長さを生かして外角を捉える。また内角を上手くさばけるところも特長だ。

 1年前に右ひざを手術したが、リハビリ期間の冬場、上半身の筋力トレーニングを中心にパワーアップした。ふところゆったり、力の抜けた構えから、柔軟性も併せ持つ。

 高校通算49本塁打。外野を無難にこなすがサードも守れる。将来の4番候補だろう。

 甲子園でホームランを打ったらプロへの道が開く、と思っていたそうだ。そしてその通りに。

 さらに、プロへの道のエピソードがあった。夏の決勝戦後、甲子園の土を持ち帰らなかったという。「プロ野球選手として、またここに戻ってくるため」という理由からだ。実現する日が迫っている。

(文・清水岳志)