2月のウェイストマネジメント・フェニックスオープンにおいて、左手親指の付け根付近を痛めて途中棄権。以来、戦列を離れていた松山英樹がアーノルド・パーマー招待(3月15日~18日/フロリダ州)で復帰した。アーノルド・パーマー招待で復帰した…
2月のウェイストマネジメント・フェニックスオープンにおいて、左手親指の付け根付近を痛めて途中棄権。以来、戦列を離れていた松山英樹がアーノルド・パーマー招待(3月15日~18日/フロリダ州)で復帰した。
アーノルド・パーマー招待で復帰した松山英樹。photo by Getty Images
「(痛みは?)今はないです。(原因?)よくわからないです。いろいろ(病院にも)行きましたけど、直接的な原因はわからなかったです。1週間ちょっと練習してきましたけど、痛みはないので、ひとまずいいのかな、と。
今回は久しぶりの試合なので、どういう感じでプレーできるかわからないけど、しっかり4日間プレーして、その中で見つかった課題を解決していけるようにしたい」
ラウンド前、そう話していた松山。大会では「4日間プレーする」という目標を見事クリアし、通算1アンダー、49位タイでフィニッシュした。左手の痛みも最後まで出ることなく、復帰戦としては悪くなかったのではないだろうか。
「4日間できたことは、すごく収穫です。ゴルフの内容的にはぜんぜん、(何かを)喋れるものじゃないですけど。(左手の)痛みに関しても、突発的に出たり出なかったりするので、不安がいきなりゼロになることはないですが、(4日間戦って)体の痛みがどこにも出ずにできたということは次につながるので、そこはよかったと思う」
松山にとっても大きな目標となる、今季メジャー第1弾のマスターズ(4月5日~8日/ジョージア州)が間近に控えている。そこへ向けて、さまざまな課題を見つけ、手応えをつかむ意味でも、今大会は重要な4日間だった。
予選ラウンドは、復調著しいタイガー・ウッズ(アメリカ)と、ジェイソン・デイ(オーストラリア)という豪華な顔ぶれと同組でプレーした。おかげで、大ギュラリーに囲まれての騒がしい状況にあったが、初日は1イーグル、3バーディー、3ボギーの「70」。2アンダー、22位タイとまずまずのスタートを切った。
「(復帰戦の初日を終えて)まあ、こんなものかなと。いいところもありましたし、悪いところもたくさんありましたけど、アンダーパーで回れたのはよかった。本音も言えば、もっと静かなところ(組み合わせ)で回りたいですけど(笑)、こういうメンバーで回れたからこそ、こうやっていいプレーもできたと思うので、それはよかった。
ショットについては、昨日の練習でだいぶいい感じに打てていた。今日もうまく打てていた部分もありますけど、練習をしていない分、チャンスにつくショットが少なかった。合わせられるショットがぜんぜんうまくいかなかったですね。
それでも、フルショットに関しては曲がっていますけど、芯に当たっていた。スイングのどの部分を調整したらいいか、という状態になってきているので、いいかなと思う」
2日目は初日と同様、ショートゲームは冴えていたが、ショットが乱れて苦戦した。4バーディー、4ボギーとスコアを伸ばせず、順位は31位タイに後退した。
「いいところを探すのが大変ですけど、10番のチップインといい、チッピングは少しずつよくなっている。ただ、ティーショット、アイアンショットはぜんぜん内容が伴っていないし、パッティングも自信がないような感じで打っているので入らない。それが、ショートする原因だと思うので、早く自信をつかめるようにしたい。
ティーショットは左にいく傾向が強いけれど、久々に試合をやるので気合が入って左に飛んでいる、というのもある。スイング的な部分もダメなところがたくさんあると思うので、それをしっかり修正して、いい形に打てるようになってから、球筋とかも考えたい。
まあ、ショットに関しては、いろいろと試しながら、変えながらやっている部分もあるので、悪くなっても仕方がないという感じ。そんな中でも、予選落ちで終わらなかった。4日間できれば、もっと課題が見つかると思うし、残り2日間でこれまで出た課題を取り除けるようにしたい。痛みが出ないスイングをどうやってするか、ということも含めて、うまくスイングして、少しでもいい感覚をつかめるようにしたいと思う」
迎えた決勝ラウンド。3日目はティーショットがよくなって、ひとつスコアを伸ばした。しかし、4日目は前半こそ安定したショットを放っていたが、後半に入ると大きく乱れて失速。2バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの「74」とスコアを落とした。
ゴルフの内容には不満だらけ、といった印象の松山だったが、4日間のラウンドを無事に”完走”できたことには、ホッとした表情を見せた。そして、最大目標のマスターズへ向けて、どう調整し、自らの状態をどう高めていくのか、その見通しと意気込みを語った。
「(最終日は)ショットが昨日(3日目)の感触のようなティーショットが打てなかった。アイアンショットもなかなか……。いい感じで打てたあとの、次のホールでミスショットが出てしまった。次につながるショットがなかなか打てませんでした。そんなゴルフというか、ショットがここまで曲がっても予選は通過できている。そこは、評価してもいいかな、と思う。
ただ、上位で戦うという意味では、今のゴルフでは話にならない。また、ケガをする前にいい感じでつかみかけていたことも完全に忘れてしまったので、もう一度、そこら辺をうまくアプローチしていったら(ショットが)よくなるのか、考えてやっていきたい。
次週のマッチプレー(WGC デルテクノロジーズ・マッチプレー。3月21日~25日/テキサス州)に向けて、今はまだ何をやったらいいのか見当がつかないけど、その先のマスターズのことも踏まえて、球数もそんなに打てない中で何をしないといけないのか、きちんと考えて調整していきたい。
マッチプレーではマッチプレーと考えないで、マスターズのためにプレーをしたい。3日間勝てたら、3日間をストロークプレーだと思ってやろうと思っています。昨年もこの時期、すごく(調子が)悪かった。今年はゴルフをやっていない分、比較はできないですけど、今の状態からは(調子を)上げられることしかない。しっかりとスイングをがんばっていきたい」
復帰戦で4日間を戦い終えた松山の姿を見て、多くのファンもまずはホッと胸をなで下ろしたことだろう。あと、気になるのは注目のマスターズでどれだけのプレーができるのか。
ウッズをはじめ、フィル・ミケルソン(アメリカ)、バッバ・ワトソン(アメリカ)らベテラン勢が復調し、ジャスティン・トーマス(アメリカ)、ジョーダン・スピース(アメリカ)、ジョン・ラーム(スペイン)ら”ヤングガン”の勢いも増すばかり。さらに、ダスティン・ジョンソン(アメリカ)、リッキー・ファウラー(アメリカ)、デイ、そして今大会優勝したロリー・マキロイ(北アイルランド)ら中堅どころの調子も上がっている。
豪華なタレントがそろい、例年以上に盛り上がりそうなマスターズ。その上位争いの中に松山の名前があることを、我々はもちろん、日本の多くのファンが望んでいる。