今年3月限りで45年間の高校野球指導を勇退した春日部共栄(埼玉)・本多利治前監督(68)の「感謝の集い」が7日、さいたま…
今年3月限りで45年間の高校野球指導を勇退した春日部共栄(埼玉)・本多利治前監督(68)の「感謝の集い」が7日、さいたま市内で開催された。
本多前監督は学校創立の80年から野球部監督を務め、春夏計8度の甲子園出場を果たした。
この日は93年夏に甲子園準優勝した時のエース土肥義弘氏(49=現西武ファーム投手総合コーチ)ら450人が参加した中、本多前監督が、壇上で最後のあいさつをした。あいさつは以下の通り。
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今日は本当にありがとうございました。このような素晴らしい会を開いていただいて、本当にOBには感謝しております。これだけの人がいてびっくりしました。私から感謝の気持ちをお伝えして終わりにしたいと思います。
昭和54年、大学(日体大)の秋のリーグ最終戦、あのにっくきタテジマ(東海大)にボッコボコにされて、私の現役が終わりました。その1週間後、大学の監督に呼ばれました。
東京のお花茶屋に共栄学園という女子校があると。全く知りませんでした。その学校が埼玉県の春日部に男女共学の学校を作ると。野球部を作るから監督を探していると。お前、ちょっと面接に行ってこいと。何を言ってるんだとその時は思ったんですね。でも大学の監督さんには大変お世話になっていたので面接だけはいかなきゃいけない。そこで判断しようと。忘れもしませんが11月3日、文化の日に面接を受けました。
人生は2つに1つの選択をしなければいけない、そういう場面が皆さんもおありだと思います。私はその後の1週間、人生での強烈な選択をしなきゃいけないあの1週間を、いまだに覚えています。そして選択したのが春日部でした。
私はあの選択に間違いはなかったと。なぜならば1500人という、宝ができました。その宝たちに「監督本多」を育ててもらいました。
そして、右も左も分からん、1人として知り合いのいない中で中学校の先生方との出会いがありました。本当に根気強く選手を送っていただいて、甲子園に行くことができました。45年間の厳しい戦いの中で私立高校にいじめられ、公立高校にいじめられ、まぁ厳しい45年間でしたけども、素晴らしい指導者との出会いがあり、素晴らしいライバルができて、45年間、モチベーションが下がることなく頑張ってこられました。 今日は家族も呼んでいただき、本当にありがとうございます。ここまでできたのも家族の支えがあったからだと思います。娘2人は負けた時にはいつも「また一からやり直しだね、頑張ってよ」って応援してくれて。女房には「気合、気合、気合、練習、練習、練習しかないんだよ」って励ましていただきました。本当に女房には感謝しております。
学校関係者、職員の方々、後援会の方々。現役の父母会の方、卒業生の父母会の方々、本当にあたたかい応援をいただいて、私は幸せだと思っております。今日は本当に素晴らしい会を開いていただきまして、心から感謝しております。
45年、私の野球人生、悔いはありません。本当にありがとうございました。
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最後は参加者全員で「ありがとうございました!!」と全力あいさつ。青春時代にガミガミ叫ばれた恩師を、元気よく第2の人生へ送り出した。【金子真仁】